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夕稀
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女性
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三人というのは本来、囲まれてはいけない人数だ。
一人防いで、また一人防いでも、最後の一人にやられてしまうからだ。だから、こうなった場合は作戦が悪かったことになる。
一気に三人の剣が振り下ろされる。
真路は前の二人の剣に刀を当てる程度に動かして、剣が下りるのを遅らせ、そのまま後ろの一人の横をすり抜けて、前の二人から距離を取った。後ろにいた男はすれ違いざまに一太刀で倒された。
残りの追ってくる二人を真路は順々に倒して、とりあえず刀についた血を袖で拭った。
後ろから熱気を感じて、真路は振り返る。
「配下を守るなんざ、らしくねぇな。阿修羅王。」
黒鋼はファイの馬の後ろに乗る。
配下最強と言うだけあるようだし、あの二人は小狼と黒鋼以上に息が合ってるんじゃないかと思う。
阿修羅王はにこりと笑みを浮かべて、剣を黒鋼に向ける。
ドンという大きな音がして、二人に炎が降りかかった。しかしどうにか防いだらしく、ばっと炎が振り切られたかと思うと、黒鋼がそのまま飛び出す。
阿修羅王の方だ。
黒鋼の目の前に突然真路が立ちふさがって、黒鋼は着地場所をなくし、バランスを崩しかけたが、そのまま空中で刀を振るう。
真路は下馬して、それを避け、黒鋼もまた着地した。
「阿修羅王には恩がありますし、約束したんで。狙うなら、私がお相手します。」
真路は微笑む。しかしその笑みに陰を落とすような戦闘時のいつものような威圧感はなかった。
「おのれ!」
倶摩羅がブーメランを振りかざす。しかしファイの矢によって肩を射抜かれた。
「俺の相手に手出すな。」
「倶摩羅も邪魔しないで。」
倶摩羅は何だか不本意そうで、ファイは微笑むだけだった。
私とは全く違う戦い方だ。
さっきまでのを見るに、中・遠距離はだいたいあの剣戟で攻撃する。剣戟を見る限り、この人の攻撃は対人というよりも、もっと大きなもの向け。
しかし腕の力はその分強いはずだ。大人の男相手に、力で勝てるとは思ってないけど。
接近戦に持ち込んで、剣戟による攻撃はさせない。さっきみたいに曲がると対処しきれないし、この人の腕の力を考えたら、接近戦も楽じゃないけど、間合いに入れなきゃやられるだけだ。
「阿修羅王も、手出さないで下さいね。」
二人は駆け出す。
黒鋼が刀を上から下へと振り下ろすのに対し、真路は横にして確実に急所を突こうとする。黒鋼はそれを受け止め、また一振り。真路はそれを払って、更に前へ。
「踏み込みが甘い。何手加減してんだよ。」
真路のわずかな隙に黒鋼の刀が飛んでくる。真路はかろうじて避けたが、服を掠り、バランスを崩した。
黒鋼の刀はそのまま入ってくる。
「真路さん!!」
真路は素手で蒼氷を掴んだ。刀をぎゅっと握って、その手からは血が流れ落ちた。黒鋼をきっ、と見据える。
刀を握る手を軸にして、空中で弧を描くように躯を動かす。黒鋼が刀から振り落とそうとしたが、真路は手を放した。
黒鋼の背後に着地し、二人は素早く方向転換。向かい合ったかと思うと、二人は刀を前へ出す。
黒鋼は真路の腹、真路は黒鋼の首元に刀を突きつけて、ぴたりと止まった。
しかし真路ははっとして素早く離れる。
「夜摩・天狼剣!」
辺りの阿修羅軍の者が吹き飛ばされるのを、真路はその境界の、ギリギリのラインの外側に立っていた。
「ぎ、ギリギリセーフ・・?」
黒鋼は溜息をつく。
「・・だから、俺の相手だって言ってんだろ。夜叉王。」
「おのれ!夜叉王!」
倶摩羅の見たその先に長く黒い髪に黒い瞳の男がこちらを見下ろしている。
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一人防いで、また一人防いでも、最後の一人にやられてしまうからだ。だから、こうなった場合は作戦が悪かったことになる。
一気に三人の剣が振り下ろされる。
真路は前の二人の剣に刀を当てる程度に動かして、剣が下りるのを遅らせ、そのまま後ろの一人の横をすり抜けて、前の二人から距離を取った。後ろにいた男はすれ違いざまに一太刀で倒された。
残りの追ってくる二人を真路は順々に倒して、とりあえず刀についた血を袖で拭った。
後ろから熱気を感じて、真路は振り返る。
「配下を守るなんざ、らしくねぇな。阿修羅王。」
黒鋼はファイの馬の後ろに乗る。
配下最強と言うだけあるようだし、あの二人は小狼と黒鋼以上に息が合ってるんじゃないかと思う。
阿修羅王はにこりと笑みを浮かべて、剣を黒鋼に向ける。
ドンという大きな音がして、二人に炎が降りかかった。しかしどうにか防いだらしく、ばっと炎が振り切られたかと思うと、黒鋼がそのまま飛び出す。
阿修羅王の方だ。
黒鋼の目の前に突然真路が立ちふさがって、黒鋼は着地場所をなくし、バランスを崩しかけたが、そのまま空中で刀を振るう。
真路は下馬して、それを避け、黒鋼もまた着地した。
「阿修羅王には恩がありますし、約束したんで。狙うなら、私がお相手します。」
真路は微笑む。しかしその笑みに陰を落とすような戦闘時のいつものような威圧感はなかった。
「おのれ!」
倶摩羅がブーメランを振りかざす。しかしファイの矢によって肩を射抜かれた。
「俺の相手に手出すな。」
「倶摩羅も邪魔しないで。」
倶摩羅は何だか不本意そうで、ファイは微笑むだけだった。
私とは全く違う戦い方だ。
さっきまでのを見るに、中・遠距離はだいたいあの剣戟で攻撃する。剣戟を見る限り、この人の攻撃は対人というよりも、もっと大きなもの向け。
しかし腕の力はその分強いはずだ。大人の男相手に、力で勝てるとは思ってないけど。
接近戦に持ち込んで、剣戟による攻撃はさせない。さっきみたいに曲がると対処しきれないし、この人の腕の力を考えたら、接近戦も楽じゃないけど、間合いに入れなきゃやられるだけだ。
「阿修羅王も、手出さないで下さいね。」
二人は駆け出す。
黒鋼が刀を上から下へと振り下ろすのに対し、真路は横にして確実に急所を突こうとする。黒鋼はそれを受け止め、また一振り。真路はそれを払って、更に前へ。
「踏み込みが甘い。何手加減してんだよ。」
真路のわずかな隙に黒鋼の刀が飛んでくる。真路はかろうじて避けたが、服を掠り、バランスを崩した。
黒鋼の刀はそのまま入ってくる。
「真路さん!!」
真路は素手で蒼氷を掴んだ。刀をぎゅっと握って、その手からは血が流れ落ちた。黒鋼をきっ、と見据える。
刀を握る手を軸にして、空中で弧を描くように躯を動かす。黒鋼が刀から振り落とそうとしたが、真路は手を放した。
黒鋼の背後に着地し、二人は素早く方向転換。向かい合ったかと思うと、二人は刀を前へ出す。
黒鋼は真路の腹、真路は黒鋼の首元に刀を突きつけて、ぴたりと止まった。
しかし真路ははっとして素早く離れる。
「夜摩・天狼剣!」
辺りの阿修羅軍の者が吹き飛ばされるのを、真路はその境界の、ギリギリのラインの外側に立っていた。
「ぎ、ギリギリセーフ・・?」
黒鋼は溜息をつく。
「・・だから、俺の相手だって言ってんだろ。夜叉王。」
「おのれ!夜叉王!」
倶摩羅の見たその先に長く黒い髪に黒い瞳の男がこちらを見下ろしている。
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この国、どうして「紗羅ノ国・修羅ノ国」にしなかったのかというと、それではもう読む前に、真路がどっちに落ちるか分かってしまうのではないか、と思ったからです。もし、ファイ達と一緒だったら、「夜摩ノ国」になってしまいますから。
そしてこの国、既に真路編を始める時から基盤は決まっていた国です。でも結構後の方なので、ようやく出来て嬉しいです。
-----------------------------------------------------以下は刀についての余談
3人に囲まれるのは刀の善し悪しにもよりますが、脂がついて、とても斬りにくくなる、もしくは斬れなくなるそうです。(本当に連続して敵が来た場合は、刺したりしてる時代劇も見掛けますね)
少し話は違いますが、蝦蟇の脂を塗ると、剣が斬れなくなる、というのもその原理ではないでしょうか?(どういう原理だよ)
結構その脂はしつこいものらしく、人を斬ったら、すぐに研がねばならないんです。
だから人を斬った後、刀をパッと振っただけで鞘に収める、なんてことをすると、本当はマズいそうです。鞘の中が血で腐り、刀身が鞘の中で固まってしまって、とっさに抜くことができず、思わぬ不覚をとってしまうこともあり得るのだとか。
そして、どんな達人でも、3人を相手にするのは勝つのはなかなか難しいと言われています。
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