カテゴリー
about
移転しました
→詳しくは目次をご覧下さい。
→詳しくは目次をご覧下さい。
プロフィール
HN:
夕稀
性別:
女性
ブログ内検索
今までもおかしいと思うことはあったけれど、前回のは明らかに変だった。
あの森、長く住んでいる割に、生活感があまり感じられなかった。
それに、最初モコナがあそこに来たときには反応してなかった。でも、実際はあそこにあった。
ファイが受け取ってからも、モコナはファイが目の前に来るまで分からなかった。
モコナが居るときには必ずついていたあの焚き火に問題があったのか、あの場所だったのか。いずれにしても、あの国に意図的なものがあったのは確かだ。
しかし、それにしても・・・。
真路はひどく後悔していた。悔やんでも、どうにかなった事ではないけれど。
「・・・でもよりによってこの組み合わせ・・・。」
真路はぽつりと呟いた。
「え?組み合わせがどうかしたの?」
「いや、何でもないです。」
安全面で言えば、よくないけどどうせはぐれるなら、この二人は二人だけで良いよ。
何か私、こういうの多くないか?
湖のあった国といい・・・。
窓の外を見て、小狼は青ざめてしまった。
勢いよく戸が開く。
「気が付いたのねー!」
ファイと黒鋼が落ちたのは小狼達の落ちた遊花区と対立する陣社の中だった。
「今も何か大変な感じなんですかー?」
陣主の蒼石は少し驚いたように「どうしてですか?」と尋ねる。
ファイは奥の部屋を指差した。
「あの扉の向こうの、あの中から守る感じの・・注連縄っていうんですか?」
「・・先程の剣術といい、貴方の見立てといい、ただの旅の方ではないようですね。これも何かの縁。・・お話ししましょう。今、起こっていることを。」
地震のあった翌日の朝、3人は遊花区の掃除を手伝っていた。
小狼が鈴蘭にさせられた女装について、「可愛い」とか、「よく似合ってる」とか「女の子にしか見えないから大丈夫」とか言って、フォローになってないのも、何だか微笑ましい。
「そういえば、真路ちゃんはお酒強いの?」
「いえ、あんまり・・・昨日は量を控えてましたから。」
小狼は苦笑いをした。
昨晩、小狼はサクラに気を遣いつつ、酔った様子のない真路に気が付いた。
すると、向かい側の人に対して、手の甲が見えるような形で盃を持ち、四十口を付けて、飲むふりをしていた。
「あなたの分もお注ぎしましょうか?」
笑顔で溢れんばかりにつぎ足した。
よ、酔わせてる・・!?と小狼が驚いたことは言うまでもない。
近くで悲鳴が聞こえた。
氏子の一人が短刀をふりかざした。鈴蘭が前に出て、刀の鞘で受け止める。
「邪魔すんじゃねぇ!」
「するに決まってんだろうが!この唐変木!!」
蹴り飛ばす。
「遊花区でクラス者は全て一座の身内!このあたしの目の黒いうちは!指一本!触れさしゃあしないよ!!」
回りの歓声が上がり、氏子達はひるんだ。しかし散々に悪口をぶちまける。
「蒼石様もなんでこんな奴等を追い出さねぇんだ!!!」
鈴蘭の顔色が変わった。
再び氏子達が一斉に刀を振るったのに対し、油断した。
「危ない!」
小狼は水桶を軸にして、氏子達を蹴り飛ばした。
再び立ち上がり、刀を握る氏子の手を真路が叩き落とす。落ちた短刀を踏みつけた。
「まだ、やりますか?今度は私で。」
真路の笑みに気圧される。
「憶えてろよ!!」
氏子達は逃げていった。
「・・モコナがこちらにいるのは、私達にとっては都合がいいことかもしれませんけど、ファイ達を探すのには少し困りましたね。」
「どうしてですか?」
「あっちはお互いに言葉が通じてれば、ある程度近いって事が分かりますし、通じなければ、移動してみて、どっち側にいるかとかわかります。」
「あ、あの・・でもそれより、そっちに集中しませんか・・?」
真路は綱の上を片手で逆立ちしている。
「ああ、これは平気ですよ。こういうのとは違いますが、元いた国で結構踊子みたいなことしたりもしましたし・・。」
真路は綱から手を放して三回転し、着地した。
にこりと微笑んで、鈴蘭の方に振り返る。
「こんな感じですか?」
「最高だよ。上手いじゃないか!三人とも。」
「三人とも・・?」
「ああ、サクラちゃんってお姫様なのに運動神経良いんですね?」
真路はサクラが少し離れた綱の上を渡っているのを指差した。
「姫!!」
夜の興業も始まろうという頃、紗羅ノ国は今までにない程に大きく揺れ、空が二つに割れる。
陣社も、遊花区の方も、大騒ぎになった。陣社の氏子達などは今にも遊花区の鈴蘭一座が守り神とする、阿修羅像を壊さんという勢いだった。
蒼石はそれを制すが、夜叉像の血の涙は止まるところを知らない。むしろ、その勢いを増していくようにも見えた。
鈴蘭と三人が阿修羅像の様子を見に行くと、阿修羅像は紅く、光っていた。鈴蘭は嫌な予感がした。
「阿修羅様はあたし達一座の守り神!!決して、厄災を呼ぶものなんかじゃないんだ!!」
揺れは止まらない。
「・・違う。絶対阿修羅様のせいじゃない。」
鈴蘭は阿修羅像の前で泣きそうだった。
「じゃないと・・・本当にもう・・・あの人に会えなくなっちまうよ・・。」
「鈴蘭さん・・。」
鈴蘭の頬から涙が阿修羅像の頬に落ちた。
その時、その額に目のようなものができて、脈打つ。光は先程とは比べものにならないほど強くなった。
「モコちゃん!」
モコナの様子がおかしかった。
「・・・この世界に羽根・・・ない。でも、あの世界に羽根・・・ある。」
翼を広げ、口を大きく開けた。
今にも吸い込まれる、その時、ファイと黒鋼らしき二人が三人の前を一瞬で横切っていった。
→目次
→next
あの森、長く住んでいる割に、生活感があまり感じられなかった。
それに、最初モコナがあそこに来たときには反応してなかった。でも、実際はあそこにあった。
ファイが受け取ってからも、モコナはファイが目の前に来るまで分からなかった。
モコナが居るときには必ずついていたあの焚き火に問題があったのか、あの場所だったのか。いずれにしても、あの国に意図的なものがあったのは確かだ。
しかし、それにしても・・・。
真路はひどく後悔していた。悔やんでも、どうにかなった事ではないけれど。
「・・・でもよりによってこの組み合わせ・・・。」
真路はぽつりと呟いた。
「え?組み合わせがどうかしたの?」
「いや、何でもないです。」
安全面で言えば、よくないけどどうせはぐれるなら、この二人は二人だけで良いよ。
何か私、こういうの多くないか?
湖のあった国といい・・・。
窓の外を見て、小狼は青ざめてしまった。
勢いよく戸が開く。
「気が付いたのねー!」
*
ファイと黒鋼が落ちたのは小狼達の落ちた遊花区と対立する陣社の中だった。
「今も何か大変な感じなんですかー?」
陣主の蒼石は少し驚いたように「どうしてですか?」と尋ねる。
ファイは奥の部屋を指差した。
「あの扉の向こうの、あの中から守る感じの・・注連縄っていうんですか?」
「・・先程の剣術といい、貴方の見立てといい、ただの旅の方ではないようですね。これも何かの縁。・・お話ししましょう。今、起こっていることを。」
*
地震のあった翌日の朝、3人は遊花区の掃除を手伝っていた。
小狼が鈴蘭にさせられた女装について、「可愛い」とか、「よく似合ってる」とか「女の子にしか見えないから大丈夫」とか言って、フォローになってないのも、何だか微笑ましい。
「そういえば、真路ちゃんはお酒強いの?」
「いえ、あんまり・・・昨日は量を控えてましたから。」
小狼は苦笑いをした。
昨晩、小狼はサクラに気を遣いつつ、酔った様子のない真路に気が付いた。
すると、向かい側の人に対して、手の甲が見えるような形で盃を持ち、四十口を付けて、飲むふりをしていた。
「あなたの分もお注ぎしましょうか?」
笑顔で溢れんばかりにつぎ足した。
よ、酔わせてる・・!?と小狼が驚いたことは言うまでもない。
近くで悲鳴が聞こえた。
氏子の一人が短刀をふりかざした。鈴蘭が前に出て、刀の鞘で受け止める。
「邪魔すんじゃねぇ!」
「するに決まってんだろうが!この唐変木!!」
蹴り飛ばす。
「遊花区でクラス者は全て一座の身内!このあたしの目の黒いうちは!指一本!触れさしゃあしないよ!!」
回りの歓声が上がり、氏子達はひるんだ。しかし散々に悪口をぶちまける。
「蒼石様もなんでこんな奴等を追い出さねぇんだ!!!」
鈴蘭の顔色が変わった。
再び氏子達が一斉に刀を振るったのに対し、油断した。
「危ない!」
小狼は水桶を軸にして、氏子達を蹴り飛ばした。
再び立ち上がり、刀を握る氏子の手を真路が叩き落とす。落ちた短刀を踏みつけた。
「まだ、やりますか?今度は私で。」
真路の笑みに気圧される。
「憶えてろよ!!」
氏子達は逃げていった。
*
「・・モコナがこちらにいるのは、私達にとっては都合がいいことかもしれませんけど、ファイ達を探すのには少し困りましたね。」
「どうしてですか?」
「あっちはお互いに言葉が通じてれば、ある程度近いって事が分かりますし、通じなければ、移動してみて、どっち側にいるかとかわかります。」
「あ、あの・・でもそれより、そっちに集中しませんか・・?」
真路は綱の上を片手で逆立ちしている。
「ああ、これは平気ですよ。こういうのとは違いますが、元いた国で結構踊子みたいなことしたりもしましたし・・。」
真路は綱から手を放して三回転し、着地した。
にこりと微笑んで、鈴蘭の方に振り返る。
「こんな感じですか?」
「最高だよ。上手いじゃないか!三人とも。」
「三人とも・・?」
「ああ、サクラちゃんってお姫様なのに運動神経良いんですね?」
真路はサクラが少し離れた綱の上を渡っているのを指差した。
「姫!!」
夜の興業も始まろうという頃、紗羅ノ国は今までにない程に大きく揺れ、空が二つに割れる。
陣社も、遊花区の方も、大騒ぎになった。陣社の氏子達などは今にも遊花区の鈴蘭一座が守り神とする、阿修羅像を壊さんという勢いだった。
蒼石はそれを制すが、夜叉像の血の涙は止まるところを知らない。むしろ、その勢いを増していくようにも見えた。
鈴蘭と三人が阿修羅像の様子を見に行くと、阿修羅像は紅く、光っていた。鈴蘭は嫌な予感がした。
「阿修羅様はあたし達一座の守り神!!決して、厄災を呼ぶものなんかじゃないんだ!!」
揺れは止まらない。
「・・違う。絶対阿修羅様のせいじゃない。」
鈴蘭は阿修羅像の前で泣きそうだった。
「じゃないと・・・本当にもう・・・あの人に会えなくなっちまうよ・・。」
「鈴蘭さん・・。」
鈴蘭の頬から涙が阿修羅像の頬に落ちた。
その時、その額に目のようなものができて、脈打つ。光は先程とは比べものにならないほど強くなった。
「モコちゃん!」
モコナの様子がおかしかった。
「・・・この世界に羽根・・・ない。でも、あの世界に羽根・・・ある。」
翼を広げ、口を大きく開けた。
今にも吸い込まれる、その時、ファイと黒鋼らしき二人が三人の前を一瞬で横切っていった。
→目次
→next
言っていませんでしたが、本館「徒然日記」は全て夕稀が管理してますが、別館「小さな本棚」の方は夕稀が原案を書いて、夕稀の妹などがアップしたりしてます。
その為、今現在、夕稀はテスト期間中ですが、更新できる、という訳です。
さて、真路がかなり中心的な紗羅・修羅の国、ようやくスタートです。
PR
この記事にコメントする