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本館・徒然日記:CLAMP作品の感想などを綴ってます。雑誌のネタバレですので、コミック派の方はご注意ください。
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力持ちなんだから小麦粉を運ぶぐらい、協力してくれても良いのに・・。

真路は袋を両手に抱えて、もう店に着く頃だった。
黒鋼に頼んだときに、「店の奴に運ばせろ。」と言われたが、やっぱりそういうのは安い方がいいに決まっている。ファイは片足を痛めているし、サクラに小麦粉は無理だろうということで、真路が自ら買ってくると言ったのだ。
昨晩の二日酔いはもうだいぶよくなって、運ぶのに支障もないが、小麦粉の袋を抱えていると、周りから余計に見られることだけは避けられなかった。背が低いとどうしても、重そうに持っているように見えるらしい。

店から出てきた人が見えて、真路は足を速めた。その時、そのマントを被った男とすれ違い、そのフードの端から、その目がちらりと見えた。
目があった。
真路は嫌な予感がして、駆け出す。店の扉を勢いよく開けると、椅子や机は散乱していた。
「真路!!」
「モコナ!?何があったんですか!?」
「ファイが、やられたの!!」
「・・・マントを被って、片目の白い男、ですか?」
「なんで知って・・・」
手をぐっと握りしめた。

彼は死を望んでいたかもしれない。でも私は生きてほしかった。
彼はもう無理に笑ったりしなくて良くて、苦しくないかもしれないけれど、私は嫌だよ・・・。
何もしてあげることも出来なくて、私は・・・

真路は壁に拳をぶつけた。黒鋼のように壁が壊れることもなく、真路の手が傷ついただけだった。

私はどうして、守りたい人を、大事な人を、守れないんだろう。もう誰も失いたくなくて、だから、必死で強くなろうとしたのに。

「真路、久人は?」
真路はその時、真っ直ぐ彼女を見ることが出来なかった。
「久人はどうしたの・・?」
「なっちゃん・・・、久人は・・」
傍にいた千尋が間に入る。
「凪。久人は、やられたんだ。」
凪はその目に涙をいっぱいに溜めた。
「どう、して・・?」
真路は正直に答える。
「久人が八十八国の新型の武器で足を撃たれて、襲撃されて、だから、チームを撤退させました。」
「見捨て・・たの?」
あそこで入っていったら、今度は入っていった人がやられていた。犠牲者を増やすわけにはいかなかった。
「・・はい。」
「どうして・・・?どうして!?」

でも守れなかったあの時のように、結局大切な親友を殺してまで自分だけが生き残って・・・。そこまでして私は、生きる理由を持っていたのかも分からずに。せめて彼だけはと思っていたのに・・また私は・・・

真路はまた拳を振り上げようとした。
「真路!」
ドアの鈴の音が鳴る。
「小狼!!」
「モコナ!!何があったんだ!?」
「ファイが、やられたそうです。」
真路は壁に手を付けたままだった。
「私は買い物に出てて、帰ってくるときにマントを被って片目の白い男が店から出てきました。その男のようです。」
小狼は目を見開いて、俯いた。

「あのね、小狼を待ってるって。桜の木の下で。」
「・・・黒鋼さん、真路さん。桜姫をお願いします。」
「待って!すれ違っただけでも分かる。あの人は、君の勝てる相手じゃないです!」
「分かっています。でも、行きます。」
「でも・・!」
黒鋼は止めようとする真路を制した。
「・・わかった。ただし、日が変わっても帰ってこなかったら、後は俺の勝手だ。」
「・・・有り難う御座います。」

これだから、心が強い人は嫌だ・・。
誰かの分まで悲しみや不幸を背負って、自分のことのようにしてしまう。心の強さは、その人のために、ならない。凪ちゃんがそうであったように。
彼はきっと戻って来れない。
サクラちゃんはどうなってしまうのか。そして、私もまた、大切な人をどうすることもできないのか・・?
あの牢屋で起こしてしまった凪を、私がまた起こすような気がして、眠っているサクラに顔を向けられなかった。


真路は悔しくて、悔しくて、悲しくて・・自分が腹ただしかった。

目次
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ようやく出てきました。真路が手にかけてしまった親友、”なっちゃん”=凪。
八十八国(八十八を一つの文字にしてください)や極東国(これは気付いた方も多かったのでは?)、少国民(※少国民隊は架空のモノです)など、実は真路編は最初から実在するものにちなんだようなものが多いです。勿論、実際あったこととかとはぴったりではないですし、作ったことも少なくないですけど。

人の名前については、その国での状況を考えて、自分がその子の親のつもりになって考えました。
極東国は戦争中ですので、「久しく生きる人」=「久人」(実際はすぐに亡くなってしまうので悲惨ですね。)
文章中では「風が止まって静かになる」意味で使っていますが、きっと名付けた方は「平和が訪れますように」→「凪」だろうな・・とか。
「大きく広がる」=「千尋」、「真っ直ぐ路を進む」=「真路」とか。
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