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夕稀
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女性
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試作のフォンダンショコラは二人に好評だった。慣れない手つきでサクラは譲刃にお茶を差し出した時のあの和やかな空気はおそらく、黒鋼やファイにはなかなか出せないと思う。
近くに鬼児が出たと言うことで、慌ただしく立ち去っていったが、早くもサクラはこの世界で友達候補が出来たようだった。
窓一つ無いこの場所には何も聞こえない
囚人のうめき声も わめき声も
風の音すら聞こえない
鉄の格子もこの空間を保って、ここだけに時間が止まってしまったようだった。
真路の中では無数の時間が繰り返し、駆けめぐっていったけれど。
「なっちゃん。」
「・・・全然関係ないのに・・こんな。」
心配そうに久人が少女の様子を伺う。少女は両手に血を流す猫を抱えていた。この猫が自分達を傷つける事を狙って、爆弾をつけたことは明らかだった。
「・・なっちゃん、お墓を作りましょう。このままあなたが抱えてたってしょうがないよ。」
「・・うん。」
真路と久人は剣や刀で土を掘って、猫がすっぽり入る穴を作ると、少女はそっとその中に猫を降ろした。
「で・・、土を被せればいいんでしょうか?」
「僕のお父さんが亡くなったときは、お母さんは火葬してたよ?」
「かそう・・」
「いいんだよ、このままで。燃やしちゃうと二度と蘇れないから。」
少女は優しく土を被せた。
真路はそれを哀しい目で見ていた。
「死んだものは二度と、蘇ったりしませんよ?」
少女は何も言わなかった。ただ、首から提げていた紐を外して、その沢山ついている中の小さな十字架を一つとって、土と一緒に墓に入れた。
真路は今目の前に横たわっている少女の首からその紐を大事に外した。丁度今、沢山あった十字架の大きな一つしか残っていないのはこのことが予め決まっていたみたいだと思った。
・・・・いや、そう思いたいのかもしれない。
真路は目を開けた。長い、夢だった。
その首にある、あの十字架を握りしめた。
ひんやり冷たい。
あの鍵のように。
これが、私がずっと負わなきゃならない罪だ。
小狼と黒鋼とモコナは市役所に行って、店には真路とファイだけになった。
ファイは小麦粉やボウルを取り出す。
「じゃあサクラちゃんはまだ起きてこないし、オレ達だけで先に店の準備始めようかー。」
「どうすればいいんですか?」
ファイは小麦粉を量って、真路の前のボウルに入れてから自分の手前のボウルにも入れた。
どうやら一緒に作りながら、教えるつもりらしい。
しばらくすると、小麦粉と水と卵とイーストだけなのに、生地はもう小麦粉の塊ではなかった。
真路は生地を指で押してみる。ふわふわしていた。
「・・・凄い。」
真路は感嘆の声を上げた。
「パンって膨らむんですね!」
ファイはにこりと微笑む。
「良かったー。真路ちゃん今日なんか、元気なかったみたいだったから。」
真路は驚いてファイを見上げた。
ファイは何事もなかったかのように作業に戻っている。
「さてーこれで最後だよ。もう30分待ったら焼けるから、今のうちにオーブン暖めとこうかー。」
私がそうされたくない事に気付いているんだろうか。だから、ファイは言及しないんだろうか・・・?
安堵したはずなのに、気まずくて、寂しかった。
結局、私だって彼を避けてるんだ。
硬直したように立ちつくしていた真路は手をぎゅっと握りしめる。
「・・・ファイ。」
「ん?何?」
「ファイは・・もし、私が・・・」
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近くに鬼児が出たと言うことで、慌ただしく立ち去っていったが、早くもサクラはこの世界で友達候補が出来たようだった。
*
窓一つ無いこの場所には何も聞こえない
囚人のうめき声も わめき声も
風の音すら聞こえない
鉄の格子もこの空間を保って、ここだけに時間が止まってしまったようだった。
真路の中では無数の時間が繰り返し、駆けめぐっていったけれど。
「なっちゃん。」
「・・・全然関係ないのに・・こんな。」
心配そうに久人が少女の様子を伺う。少女は両手に血を流す猫を抱えていた。この猫が自分達を傷つける事を狙って、爆弾をつけたことは明らかだった。
「・・なっちゃん、お墓を作りましょう。このままあなたが抱えてたってしょうがないよ。」
「・・うん。」
真路と久人は剣や刀で土を掘って、猫がすっぽり入る穴を作ると、少女はそっとその中に猫を降ろした。
「で・・、土を被せればいいんでしょうか?」
「僕のお父さんが亡くなったときは、お母さんは火葬してたよ?」
「かそう・・」
「いいんだよ、このままで。燃やしちゃうと二度と蘇れないから。」
少女は優しく土を被せた。
真路はそれを哀しい目で見ていた。
「死んだものは二度と、蘇ったりしませんよ?」
少女は何も言わなかった。ただ、首から提げていた紐を外して、その沢山ついている中の小さな十字架を一つとって、土と一緒に墓に入れた。
真路は今目の前に横たわっている少女の首からその紐を大事に外した。丁度今、沢山あった十字架の大きな一つしか残っていないのはこのことが予め決まっていたみたいだと思った。
・・・・いや、そう思いたいのかもしれない。
真路は目を開けた。長い、夢だった。
その首にある、あの十字架を握りしめた。
ひんやり冷たい。
あの鍵のように。
これが、私がずっと負わなきゃならない罪だ。
*
小狼と黒鋼とモコナは市役所に行って、店には真路とファイだけになった。
ファイは小麦粉やボウルを取り出す。
「じゃあサクラちゃんはまだ起きてこないし、オレ達だけで先に店の準備始めようかー。」
「どうすればいいんですか?」
ファイは小麦粉を量って、真路の前のボウルに入れてから自分の手前のボウルにも入れた。
どうやら一緒に作りながら、教えるつもりらしい。
しばらくすると、小麦粉と水と卵とイーストだけなのに、生地はもう小麦粉の塊ではなかった。
真路は生地を指で押してみる。ふわふわしていた。
「・・・凄い。」
真路は感嘆の声を上げた。
「パンって膨らむんですね!」
ファイはにこりと微笑む。
「良かったー。真路ちゃん今日なんか、元気なかったみたいだったから。」
真路は驚いてファイを見上げた。
ファイは何事もなかったかのように作業に戻っている。
「さてーこれで最後だよ。もう30分待ったら焼けるから、今のうちにオーブン暖めとこうかー。」
私がそうされたくない事に気付いているんだろうか。だから、ファイは言及しないんだろうか・・・?
安堵したはずなのに、気まずくて、寂しかった。
結局、私だって彼を避けてるんだ。
硬直したように立ちつくしていた真路は手をぎゅっと握りしめる。
「・・・ファイ。」
「ん?何?」
「ファイは・・もし、私が・・・」
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真路の夢による過去シーンが出てきたときに、”火葬は駄目”という部分が出てきていますが、イスラム教・キリスト教・神道などでは禁忌とされているそうです。火葬は仏教特有に近いもののようですね。
ちなみに、この「解氷」は「げひょう」というつもりですが、私が勝手に創った造語です。意味は字を見た、そのままの意味です。
・・・さて、裏話をしたい気分(どんなだ)なので、全体的な裏話をしたいと思います。
最初、レミニス編の他にここに載せる連載ものは二つ候補がありました。
一つはこの「真路編」で、もう一つは「レミニス編」のおおもとになったもの。
後者の方は結構最近まで考えてた案でしたが、死ネタで、ファイの言動に困るようなシーンがありましたし・・・何より「レミニス編」の元となっているので、やはり似た箇所があって、止めました。
でも、いつかひょっとしたらやることもあるかもしれません。(なんだそれ。)
それで前者、「真路編」に決まったわけです。
一応「レミニス編」の対として考えたものだったりします。(魔力が皆無だったり、戦えたり、恋愛要素があったり、過去は始めのうちに割と明かされていたり・・)
真路の夢による過去シーンが出てきたときに、”火葬は駄目”という部分が出てきていますが、イスラム教・キリスト教・神道などでは禁忌とされているそうです。火葬は仏教特有に近いもののようですね。
ちなみに、この「解氷」は「げひょう」というつもりですが、私が勝手に創った造語です。意味は字を見た、そのままの意味です。
・・・さて、裏話をしたい気分(どんなだ)なので、全体的な裏話をしたいと思います。
最初、レミニス編の他にここに載せる連載ものは二つ候補がありました。
一つはこの「真路編」で、もう一つは「レミニス編」のおおもとになったもの。
後者の方は結構最近まで考えてた案でしたが、死ネタで、ファイの言動に困るようなシーンがありましたし・・・何より「レミニス編」の元となっているので、やはり似た箇所があって、止めました。
でも、いつかひょっとしたらやることもあるかもしれません。(なんだそれ。)
それで前者、「真路編」に決まったわけです。
一応「レミニス編」の対として考えたものだったりします。(魔力が皆無だったり、戦えたり、恋愛要素があったり、過去は始めのうちに割と明かされていたり・・)
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