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本館・徒然日記:CLAMP作品の感想などを綴ってます。雑誌のネタバレですので、コミック派の方はご注意ください。
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店の中にいい香りが漂って、後は椅子やカーテンを付け終わればここはもう完全に喫茶店になるだろう。

真路はもうとうに着替えは済んでいたのだが、中に入れずに・・・否、入る勇気が無くて、ドアの前に立ちつくしていた。紅い袴にエプロンを付けて、真っ黒なブーツを履いた真路はその袴と同じくらい真っ赤になっている。

「目が覚めましたか?」
さくらが起きたようだった。

「昨日、鬼児を倒して市役所でもらったお金で用意したんだよー。割れた窓も直してもらったし、色々買ったの運んでもらったしー。」
中の様子を見ることは出来ないが、声と気配で大体を把握できた。

・・・って、そうじゃなくって!何にしたって、見せることになるんだから入らないと・・。

真路はゆっくりゆっくり、ドアノブに手を伸ばす。すると突然ドアが開いて、真路は飛び上がるほど驚いた。中の様子に気を配るのを忘れていた。
「てめぇはいつまでそこに突っ立ってるつもりだったんだよ?」
ぶっきらぼうに黒鋼が言った。
「あ・・いや、その・・」
「わぁ・・、真路ちゃん綺麗・・!」
「本当だねー。」

皆の視線がこちらに注がれて、真路はいよいよ顔が上げられなくなった。服を買ってきて貰った立場なので、文句は言えないが、こんなヒラヒラしたのを頭につけるのは恥ずかしくて、目を合わせられない。
真路は始終袖から腕が見えないように気を付けていた。

「これでサクラちゃん以外はみんな着替え終わったね。でも黒るんのそれ、どうきるのかさっぱり分かんなかったよー。」
「こりゃ、袴だろう。」
「袴でしょう?」
黒鋼と真路の台詞が重なって、思わず二人は見合わせた。

「黒鋼さんの国と真路さんの国はそういった服装なんですか?」
「まあ、近い感じではあるな。」
「極東国では・・どちらかというと私の着ているのに似たものがありましたが、だいたい神主とか巫女とか・・神職の人の服装でしたね。一般的には私が着てたみたいな、阪神共和国みたいな服装でした。あ、スカートは踊子ぐらいですけど。」

「で、お前のそりゃなんだ。」
「オレの仕事言ったらこういう服がいいって教えてくれたんだよー、服屋さんが。」
「ああ、そういえば仕事、小狼君達はわかったんですけど、ファイはどうするんですか?」
「オレ、ここで喫茶店やろうと思ってー。お客さんから色んな情報聞けるって市役所の子も言ってたしー。」
「モコナもそれするの!」
モコナが真路の上に飛び乗った。
「ってことでー、真路ちゃんとサクラちゃんも一緒でいいかなぁ?」
「はい、頑張ります!」
サクラは丁寧に頭を下げる。

「いいですけど、私・・・そういうの全然やったこと無いんですけど、良いんですか?」
「大丈夫だよー。」
ファイは袋を抱えた。
「じゃさっそく着替えよっかー。」
「え?え?」

しばらくして戻ってきたサクラは真路と同じ形の服装でありながら、真路とはまた違った雰囲気を出していた。
あえて言うなら、サクラは優しくて和やかな、そういう感じ。真路は可愛いと言うよりは美しいという感じで、どこか戦闘時のような凛とした空気を持っていた。

モコナの目が突然大きくなって、黒鋼がぎょっとした。
モコナの口からは皿に乗ったフォンダンショコラが吐き出されてくる。
「何々ー?ひょっとして差し入れー?」
「あの魔女がただで差し入れなんかするか。」
「これ、フォンダンショコラだ!中にチョコが入っててね、あっためて食べるの!」
「へー丁度お茶も入ったしーみんなで食べようよー。」
黒鋼は皿に並んだチョコレートケーキを怪しげに見つめている。
「俺ぁいらねぇぞ。」
「えいっ!」
ファイはフォークでフォンダンショコラを突き刺し、黒鋼の口に突っ込んだ。
「何しやがる!!」
やや慌てるサクラと小狼に対し、クスクス笑う真路に笑顔のファイ。

こういう和やかなのも悪くないと思った。


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