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夕稀
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女性
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「しかしよく助かったな。あの川には落ちたんだろ?」
「ええ。でもカイル先生が引き上げてくれたみたいで、気が付いたらあの部屋の中でした。」
窓の外では町の人々の喜ぶ声が聞こえてくる。
「カイル先生は子供達を傷つけたりもしなかったみたいだしねぇ。」
「羽根を掘り出すための労働力だからな。わざわざ怪我させたりはしねぇだろ。」
「けれど、さくらちゃんだって、川を渡るのを見たとは言え、あのまま放って置いたら凍死してた可能性だってありますよ?まぁ傷つけるぐらいはあったかもしれませんが、殺す気はなかったんじゃないでしょうか。」
「つまり何が言いたい?」
「私達から見て、それが”悪”だったとしても、それはあくまで主観でしかないということですよ。彼からすれば、あの羽根が必要な理由があったかもしれない。ただの野心だったとしても、この町の人が思ったよりも”悪い人”ではなかったかもしれない。
悪いとか良いとかいうことはそもそも人が勝手に思うことに過ぎませんから・・・って、黒鋼は納得いきませんか?」
真路は黒鋼には分からないかと思ったが、様子からすればそうでもないようだった。真路は微笑む。
「・・それにしても、サクラちゃんが見たって言う、エメロード姫は何だったんだろうー?」
「さくらちゃんにも催眠術をかけられるような状況はありましたか?」
「いえ、そんな様子は無かったと思います。」
「じゃあ羽根の力ー?」
「それだったら、モコナ分かったと思う。」
「サクラ姫が視たのはエメロード姫の霊のようなものだったんじゃないんでしょうか?」
「霊?」
「サクラ姫は小さい頃から死んだ筈の人や生き物を視たり話すことが出来たそうです。」
「玖楼国の人ってみんなそうなのー?」
「いいえ。おれが知る限り、今は神官様とサクラ姫だけです。」
「小狼君はー?」
小狼は首を振った。
「真路ちゃんはー?」
「見えません。」
「黒るーは?」
「んなもん視えねぇ。」
ファイは納得したようにあごに手を当てる。
「オレもそっちの力はないなぁ」
「幽霊だったらモコナ見えないし、感じない。」
「そうなんだー。」
「幽霊とか視えるのは黒くて青いお耳飾りのモコナなの。」
「・・・なんかいたな、黒いまんじゅうみたいなのが。役に立たねぇな、白まんじゅうは」
「モコナ頑張ったもん!大活躍だったもん!!」
モコナは耳をパタパタさせて黒鋼を叩いた。
さくらが目を開けたのに最初に気付いたのはモコナだった。
「サクラが起きたー!」
「・・・・・だめ」
さくらはがっかりした様子で言った。
「エメロード姫、何処にもいない・・」
そっとモコナがさくらの肩に乗る。
「前に侑子言ってた。心配なことがなくなったら、霊はどこかへいくんだって」
「成仏するってことか」
ファイは帽子を取って、祈るようにそれを胸に当てた。
「よっぽど子供達のことが心配だったんだねぇ。金の髪のお姫様。」
「でも、エメロード姫がサクラちゃんに教えてくれた『誰かがずっと視ている』っていうのはどういうことなんでしょうか?」
「もう一つ、分からなかったことがあるんです。」
小狼は眉を寄せた。
「カイル先生はどうしてあの城の地下に羽根があると知ったんでしょう。」
「本や伝説にもそんな話はないってグロサムさんも言ってたしねぇ。」
「では、この旅に裏で手を回している人がいるって事になりますね。」
「『誰か』が」
真路ははっとして、来た道の方を振り返った。
彼女にもし、エスパー並みの視力があったら、そのずっと先・・”スピリット”の看板のあるところで男がこちらを望遠鏡で見ているのが見えただろう。その男は小狼達に伝説の話を聞かせたあの店員だった。
「あの医者は失敗したようです。」
看板はキコキコと音を立てて揺れ、”スピリット”の裏にうっすら見えていた黒い何かがくっきりと浮かび上がった。それはまぎれもなく、紋章だった。
その男の通信を受けていた、また別の世界の男はその手に杯を揺らしている。
「次元を超える力、行方を指し示す翼。」
男の前に置かれた鏡に映し出されていく三人の姿。
「異世界へと渡る力を持つものは既にいる」
ファイ、雪兎、そして侑子。
「だが、あの玖楼国の地中深く埋まったものはそれらを遥かに凌ぐ力だ」
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「ええ。でもカイル先生が引き上げてくれたみたいで、気が付いたらあの部屋の中でした。」
窓の外では町の人々の喜ぶ声が聞こえてくる。
「カイル先生は子供達を傷つけたりもしなかったみたいだしねぇ。」
「羽根を掘り出すための労働力だからな。わざわざ怪我させたりはしねぇだろ。」
「けれど、さくらちゃんだって、川を渡るのを見たとは言え、あのまま放って置いたら凍死してた可能性だってありますよ?まぁ傷つけるぐらいはあったかもしれませんが、殺す気はなかったんじゃないでしょうか。」
「つまり何が言いたい?」
「私達から見て、それが”悪”だったとしても、それはあくまで主観でしかないということですよ。彼からすれば、あの羽根が必要な理由があったかもしれない。ただの野心だったとしても、この町の人が思ったよりも”悪い人”ではなかったかもしれない。
悪いとか良いとかいうことはそもそも人が勝手に思うことに過ぎませんから・・・って、黒鋼は納得いきませんか?」
真路は黒鋼には分からないかと思ったが、様子からすればそうでもないようだった。真路は微笑む。
「・・それにしても、サクラちゃんが見たって言う、エメロード姫は何だったんだろうー?」
「さくらちゃんにも催眠術をかけられるような状況はありましたか?」
「いえ、そんな様子は無かったと思います。」
「じゃあ羽根の力ー?」
「それだったら、モコナ分かったと思う。」
「サクラ姫が視たのはエメロード姫の霊のようなものだったんじゃないんでしょうか?」
「霊?」
「サクラ姫は小さい頃から死んだ筈の人や生き物を視たり話すことが出来たそうです。」
「玖楼国の人ってみんなそうなのー?」
「いいえ。おれが知る限り、今は神官様とサクラ姫だけです。」
「小狼君はー?」
小狼は首を振った。
「真路ちゃんはー?」
「見えません。」
「黒るーは?」
「んなもん視えねぇ。」
ファイは納得したようにあごに手を当てる。
「オレもそっちの力はないなぁ」
「幽霊だったらモコナ見えないし、感じない。」
「そうなんだー。」
「幽霊とか視えるのは黒くて青いお耳飾りのモコナなの。」
「・・・なんかいたな、黒いまんじゅうみたいなのが。役に立たねぇな、白まんじゅうは」
「モコナ頑張ったもん!大活躍だったもん!!」
モコナは耳をパタパタさせて黒鋼を叩いた。
さくらが目を開けたのに最初に気付いたのはモコナだった。
「サクラが起きたー!」
*
「・・・・・だめ」
さくらはがっかりした様子で言った。
「エメロード姫、何処にもいない・・」
そっとモコナがさくらの肩に乗る。
「前に侑子言ってた。心配なことがなくなったら、霊はどこかへいくんだって」
「成仏するってことか」
ファイは帽子を取って、祈るようにそれを胸に当てた。
「よっぽど子供達のことが心配だったんだねぇ。金の髪のお姫様。」
「でも、エメロード姫がサクラちゃんに教えてくれた『誰かがずっと視ている』っていうのはどういうことなんでしょうか?」
「もう一つ、分からなかったことがあるんです。」
小狼は眉を寄せた。
「カイル先生はどうしてあの城の地下に羽根があると知ったんでしょう。」
「本や伝説にもそんな話はないってグロサムさんも言ってたしねぇ。」
「では、この旅に裏で手を回している人がいるって事になりますね。」
「『誰か』が」
真路ははっとして、来た道の方を振り返った。
彼女にもし、エスパー並みの視力があったら、そのずっと先・・”スピリット”の看板のあるところで男がこちらを望遠鏡で見ているのが見えただろう。その男は小狼達に伝説の話を聞かせたあの店員だった。
「あの医者は失敗したようです。」
看板はキコキコと音を立てて揺れ、”スピリット”の裏にうっすら見えていた黒い何かがくっきりと浮かび上がった。それはまぎれもなく、紋章だった。
その男の通信を受けていた、また別の世界の男はその手に杯を揺らしている。
「次元を超える力、行方を指し示す翼。」
男の前に置かれた鏡に映し出されていく三人の姿。
「異世界へと渡る力を持つものは既にいる」
ファイ、雪兎、そして侑子。
「だが、あの玖楼国の地中深く埋まったものはそれらを遥かに凌ぐ力だ」
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次は桜都国です。
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