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本館・徒然日記:CLAMP作品の感想などを綴ってます。雑誌のネタバレですので、コミック派の方はご注意ください。
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カツカツカツカツ・・・という足音が聞こえる。
だんだんとこちらに近づいてくる。そして、この気配は・・・

真路はさくらを庇うように男の前に立ちはだかった。
「カイル先生・・。」
さくらの抱えている氷の中の羽根を横目で確かめたのを真路は見逃さない。
「さくらちゃん、その氷、絶対手放さないでください。すべてはこの男がやったことです。」
さくらは驚いて、同時に氷を持つ手に力を入れた。
「水の中に落ちた私を上にあげてくれた事は感謝します。けれど、さくらちゃんに手出しなんて絶対させませんし、羽根も差し上げるわけにはいきません。」
カイルはさくらが見たこともないような顔で笑う。
「まさか靴を脱がせて鎖までつけたのにこうやって抜け出してるとはな。お前に至っては手に手錠までかけて置いたのに右手にかかってるだけとは。」
真路は左手でさくらを後ろへ下がらせた。カイルの手は素早く伸びてくる。
「羽根を寄越せっ!!」
真路は右手でカイルを殴ったが、あまり威力はなかったようだった。カイルは短剣を出して、真路の首元に突きつけた。さくらに気を取られていて、真路は防げなかった。
「真路ちゃん!!」
「この女を傷つけられたくなかったら、羽根を寄越せ。」
「駄目!!渡さないで。この男は私が捕まえておきます。私のことは気にしないで逃げてください。」
真路はカイルの手を掴んだ。一度倒した男とは言え、力で戦えば大人の男には敵わない。その手はガタガタと震え、首についたり、離れたりしていた。
「でも・・!」
真路は足にぐっと力を入れた。
「サクラ姫!!真路さん!!」
小狼達が駆けつけてきたその瞬間、真路はもう片方の左手を床につき、カイルを蹴り飛ばした。真路はバランスを崩して転びそうになるのをファイが受け止めた。
「大丈夫?」
「はい、有り難うございます。」
ファイは真路の足についたままの鎖と右手にかかった手錠をナイフで外した。

小狼はさくらの元に素早く駆け寄った。カイルは立ち上がって、二人の方に短剣を向けながら近づいてくる。
「この羽根さえ手にいれればこんな小さな町、いや、国も全部思いのままだ。何せ三百年前金の髪の姫はこの羽根の力で城下町の子供達を救ったらしいからな。」
「金の髪の姫は子供達をさらって城で殺したんじゃ・・・!」
自警団の男の声は響いた。
「殺すためだけなら、こんな部屋必要ないだろう。」
辺りをよく見れば、ここは子どものための部屋としか言いようがない。沢山の遊具が並んでいた。
「そういえばここに来る途中たくさんベッドがある部屋もあったねぇ。」
「城に集めた子供達のためのものか。」
「羽根を手にしたあと、王と后はすぐに死んだって!」
「違う・・。」
さくらの言葉に思わずその場の全員がそちらに注目した。

「・・・さくらちゃん、誰と話してるんだろー?」
「あの、よく分からないんですが、”エメロード姫”という人と話してるらしいです。」
「エメロード姫!?」
それは真路が居なくなってから、小狼が歴史書の中で見つけた人名だった。
「幻との会話に付き合っているヒマはない!」
カイルは二人の方へ斬り掛かった。
「その羽根を渡せ!!」
さくらは思わず目をつぶる。
「やめろー!!」
小狼が咄嗟にさくらを庇って、代わりに小狼が斬られた。さくらは息をのんだ。
「小狼君!!」
その時、轟音と共に地面が揺れた。皆の動きが止まる。
「何の音かなぁ。」
「地震でしょうか?」
「違う、この音は・・!」
「危ない!!」
突然城の壁を突き破って、瓦礫と共に水が流れ込み、それはさくらと小狼とカイルを奧へ閉じこめた。
「川の水を止めていた装置が壊れたみたいですね・・・」
小狼はさくらの足についている鎖を靴で壊した。

「子ども達を上へ!先に行ってください!必ず城から出ます!!」
「しかし!」
戸惑うグロサムを横目に真路達は出口の方へ向く。
「・・行くぞ。」
「はーい。」
自警団の男は驚いて、叫んだ。
「まだ仲間が危ないのに!?」
「『やる』って言ったらやる感じの人だから・・・小狼君は」
「・・っていうか、さくらちゃんが小狼君に無茶はさせないでしょう。で、小狼君はさくらちゃんをなんとしてでもここから出すでしょうし。エメロード姫も居るから大丈夫だと思いますよ。」
真路は子どもを持ち上げた。
しかしそれをファイが真路から抱き寄せた。
「駄目だよー。真路ちゃん左手、怪我してるのにー。」
その笑顔だけで顔が真っ赤になりそうで――いや、なっていたかもしれないが――真路の表情に力が入った。


一応小狼を信じて二人だけで行かせたとは言え、ファイと黒鋼も心配のようだ。真路に至っては彼を信じたのとは少し違っていたので、その二人の比ではなかった。三人は黙って川の方を見つめていた。
川はその速さばかりが増していく。
「おい!来ないぞ!!」
川の中に小狼の気配が感じられた。
「・・・来た。」
三人が顔を上げたのはほぼ同時だった。
小狼は川からザバッと顔を出し、黒鋼が手を貸した。
「ひゅー♪『やった』ねー小狼君。」

水から上がってきた小狼にすかさず真路が駆け寄った。
「動かないでください。」
真路が突然自分の袖を破り始めたので、小狼は驚いた。
「真路さん!?」
「動くな!」
割と冷静な真路が声を荒げたので思わずファイや黒鋼やグロサム達までそちらに振り返った。
「は・・はい。」
真路はその布の切れ端を小狼の肩に当てて、応急処置をする。それを終えて顔を上げてから、皆の視線に気付き、我に返った。
「あ・・・ごめんなさい。あの、そのままにしたらいけないと思って・・。吃驚させてしまいましたよね。」
「いえ、あの、有り難うございます。」
小狼は微笑んだが、ファイの反応が怖くて顔が上げられなかった。

こ、怖い人だと思われちゃったかな・・・っていうか、絶対そうだよね。

しかしその後も普通に接されて、真路は戸惑いつつも、嬉しかった事は間違いない。

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