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本館・徒然日記:CLAMP作品の感想などを綴ってます。雑誌のネタバレですので、コミック派の方はご注意ください。
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この日の夜も、雪が降っていた。
開け放した窓から冷気が入ってくるが、さくらは一人、毛布にくるまって、じっと外を見ていた。

そういえば、真路ちゃんは雪を見ながら、何を考えていたんだろう?
なんだか懐かしいような、でもとても冷たく、悲しい顔をしていた。なんと言ったらいいのか・・・”痛そうな顔”といえば、一番近いかもしれない。

そしてあの後、彼女は何かを見たのか、もしくは何かに攫われたのか・・。
「・・あの時、わたしが外へ出ていれば・・。」
さくらはその手をぎゅっと握りしめた。
その時、窓の外に金色の髪をなびかせる姫が現れた。さくらは思わず立ち上がる。
「金の髪のお姫様!?」
すると家々の中からそれぞれ子どもが出てくる。姫についていく。
「連れて行かれちゃう!!」
さくらは毛布を木にかけ、それをつたって、下へ下りた。無我夢中で子ども達を追いかけた。
子ども達はだんだんと何もない方へ・・それは城へと向かっているようだった。

案の定、城の前に着いて、さくらは立ち止まった。
あれだけ流れが速かった川に流れが無くなっていき、ついにはただの池のようになってしまった。その上を子ども達が渡っていく。

さくらの視界が揺らいだ。
「・・・だめ。今眠っちゃ・・・」
しかしさくらの意志とは裏腹に眠気はさくらの躯を覆っていった。

さくらが次に目を覚ましたときには真っ暗な闇の中だった。はっとして立ち上がると、足枷に足を取られ、地面に手を付く。
「・・ここ、何処?」
後ろに気配を感じて、振り返った。
「金の髪のお姫様!?・・・・の絵?」
「お姫様、は君もでしょう?」
「真路ちゃん!?」
真路は両手を後ろに回したまま座っていた。
「よかった・・。ごめんね、わたしがあの時、外へ出ていれば・・」
「いえ、出てなくて良かったんです。まだ本調子じゃない君が出てたら大変でした。・・・なのに、馬鹿ですか。」
真路は溜息をついた。
「子ども達を追ってきましたね?一人で。」
「ご、ごめんなさい・・。」
本気で怒っているわけではないのに、さくらが肩を落としたので、真路は弁解した。
「いや・・あの、過ぎたことはもういいんです。けれど、君にもし何かあったら、気が気じゃなくなるぐらい心配なさる方がいますから、もう少し、自分を大切になさって下さい。」
「気が気じゃなくなるくらい心配する人・・?」
どうやら気付いてないらしい。やっぱり鈍感なんだ・・と真路は思った。

「・・・ところで、川の前で何か見つけませんでしたか?」
「あ、うん。銀色の、こういう形の・・。」
さくらは二つの指を交差させてみせる。
「あれは十字架というんです。あれを崇める宗教があって、ね。私は神様なんてものは人が罪を犯さないために、心の支えとするために勝手に人が創り出したものだと思ってるけど・・・って・・」
さくらに視線を向けた。
「ごめん。あの、信じてたら悪いんだけど・・あくまで私がそう思ってるだけですけど・・。」
さくらは特に気にしてないらしくにこりと微笑んだ。
「でもじゃあどうして真路ちゃんはあれを?」
「あれは私のものじゃなかったからです。・・でも、とても大切なものなんです。見つけて貰えて良かった。あそこには何もなかったから。あそこに私が来たことを伝えたかったんですけどね。」
「そうなんだ。ファイさんが見つけて、今もファイさんが持ってると思うよ。」
真路は驚いたような顔をした。嬉しいような、複雑な気持ちだった。
一番見つけて欲しかった相手は彼だったけれど、でもそんなことされてしまったら、私が何か期待してしまう。もっと好きになってしまう。
でもそれは私には許されない。・・・だから、見つけて欲しくなかった。

矛盾している。私は矛盾ばっかりだ。

「真路ちゃん・・?」
さくらが心配そうに見ていたので、真路は微笑んだ。
「とにかく、ここから脱出することを先に考えましょうか。」
真路は先程からずっと両手が後ろに回されたままだった。
「真路ちゃん、手・・縛られてるの?」
「ええ。手錠みたいなものを両手につけられてるみたいで。多分、私が捕まる前にあの人を倒したからでしょう。」
「あの人?」
「―――でも、これは両手が離れないだけですし、何とかなるので気にしないでください。」
「そう、よかった。」
さくらは自分の足に繋がれている鎖を持って、その先にあるベットを見据えた。
「・・このベット、凄く古い。もしかしたら・・。」
躯全体を使って、鎖を引っ張る。真路もそれに習って、自分の鎖を引っ張った。
ベットの足は軋んで、裂けていき、そして折れてしまった。

さくらはドアに近づいて、その上の格子から外を見た。丁度その時、その前を子ども達が通っていった。
「・・みんな何処に行ってるんだろう。半分眠ってるみたい・・。」
「何か暗示でもかけられているのかもしれませんね。」
真路は後ろで繋がれた両手に足をくぐらせて、両手を前に持ってきた。両手を動かして、手錠をカチャカチャ言わせてみる。
さくらはベットからシーツをとって破き、それを結んで輪を作る。格子の間からそれを通して、ドアに渡された木に引っかけた。上に引っ張って、木を外す。

ドンッと音がして、さくらは後ろを振り返った。
真路が左手を手錠の輪から外したところだった。さくらは駆け寄って、その手を持ち上げた。暗くてよく見えないが、左手が腫れているのは明らかだった。
「手の骨を、折ったの・・?」
「折れてはないと思いますよ。強く壁に打ち付けて、手の形を少し変形させただけです。そうすると手錠は外れます。他にも方法はありますが私は下手ですから・・」
「ごめんなさい。」
「何がですか?」
「私、何にも出来なくて・・真路ちゃん、痛いよね?」
真路はさくらの手を取った。
「そんなことありません。さくらちゃんは自分で足枷を外しましたし、ドアだって開けてくださいましたよ?」
「でも・・」
「手は全然痛くないです。ここで誰か来るのを待ったり、両手が使えないで君を守ることも出来ない方が私にとっては辛いです。それに、これは私が勝手にやったことです。」
さくらの泣きそうな顔が見えた。その細くて白い手が左手をさすった。
「・・じゃあもう、こんな、自分を傷つけるようなこと、しないって約束して。」
「君は凄く優しいお姫様なんですね。」
真路はにこりと微笑んだ。
「努力します。」

二人は部屋から出て、奥へと進んでいく。そこには沢山の子ども達がいて、壁の穴の中へと入っていく。
「・・何をやってるんでしょうか。」
さくらがふいに何もない方向に目を向けた。
「さくらちゃん・・?」
「エメロード姫!?」
「え?」
さくらの視線の先にある何かは真路の目には映らなかった。しかしさくらが嘘を言うとは思えなかったし、実際嘘ついたところで利はない。

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