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夕稀
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女性
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真路は回廊の横に階段を見つけた。
「・・確かに多勢に無勢ですが、そっちの階段に入ってください。私は後ろでこの人達の相手をします。」
春香は頷いた。
さくらの手を引き、階段を駆け上る。真路は男の足を引っかけて倒し、武器を奪って、素早く階段を後ろ向きに進んでいった。残りが追いかけてくる。
それを落としていく。前の者が落とされると、後ろが逃げ切れず、そのまま巻き添えを食らって落ちていった。
追ってくる者が居なくなって、真路はさくらたちの方に向き直った。
「・・凄いな。」
「たいしたことじゃないです。こういうところを使ったり、移動しながらだと、追っ手は少しばらけて、少数と戦えますからね。」
真路は棒を床に付けて、音をさせる。
「・・さて、行きますか。」
「「死に急ぐ気か?童よ。」」
ファイは秘妖に近い、背の低い足場に着地した。それをまた足場にして、黒鋼が秘妖の元へ跳ぶ。
「「何!?」」
秘妖は黒鋼の胸に長い爪を刺した。
「「・・・なかなかの策士だな。」」
爪を引き抜くと、マガニャンが刺さっていた。
「俺ぁ、雨が嫌ぇなんだよ。・・だから、さっさと止めろ!」
黒鋼はその棒を秘妖の額に振り下ろした。
「みんな!目を覚ませ!!」
春香がその鏡を掲げると、光が発せられた。その後ろの真路すら、思わず目をつぶる。
すると、大勢の町の人達がはっと我に返ったように、辺りを見回す。
「この鏡は操られた人にかけられた術を解く。母さんの秘術道具だ。」
春香は領主を睨んだ。
「私の秘術を操る力はまだ弱いけど、この鏡にかけて、もうお前なんかに町の人達を好きにさせない!」
「春香!!さくら!!真路!!」
真路はモコナの声で、小狼を見つける。
「あーあ、ボロボロですね。大丈夫ですか?」
「はい。」
後ろで二人の気配がした。
「あれー?なんだか人いっぱい?」
「二人とも遅いー!!」
モコナは黒鋼に跳び蹴りならぬ、跳び頭突きをした。
「ご、ごめんなさい。お願いされてたのに・・。」
「うううん。ここまでちゃんと、真路ちゃんは守ってくれたみたいだしねー」
ファイはにこりと笑う。真路は思わず目をそらした。
その時、領主の声が聞こえた。
「これを使えば、春香の母親を生き返らせられるかもしれん!」
後ずさりをしながら、必死に小狼に命乞いをしているらしい。
真路はそれを軽蔑めいた表情で見ていた。
「おまえが殺したんだろ!この町を守ろうとした母さんを!!」
春香の瞳から涙が流れ落ちる。
「それに!母さん言ってた!どんな力を使っても失った命は戻らないって!!どんなに私が会いたくても、もう母さんには会えないんだ!!」
真路は顔をしかめた。
「それなのに・・・・そんなたわごと!」
今にも領主に掴みかかりそうな春香をさくらが必死におさえる。
「・・春香、仇を討ちたいか。」
春香は顔を上げた。その気持ちは心にあった筈なのに、意外そうに小狼を見る。
「それで気が済むならいい。けれど、春香が手をかける価値のある男か?」
ぎゅっと、目を閉じて、拳を握りしめた。
「・・・こんなヤツ、殴る手がもったいない!」
真路は悲痛な表情を浮かべた。
小狼はそれを聞いて、ゆっくり領主と間合いを詰めていく。
「待って・・!」
思わず、真路は叫んだ。
驚いて、小狼は振り返る。
「恨みは持たされた人がその処理を考えるべきです。一番恨みを持たされた人がこう言ってるんだから、あなたがその男をどうかする権利はありません。」
本当はこんな男を庇うことになるようなことを言いたくはなかった。しかし、春香が何もしないのに小狼が手をあげるのは理に反すると思う。それに、それを黙ってみていられなかった。
「真路ちゃん・・?」
「「そこまでだ。」」
領主の背後から長い爪が延びてきて、領主を掴んだ。
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「・・確かに多勢に無勢ですが、そっちの階段に入ってください。私は後ろでこの人達の相手をします。」
春香は頷いた。
さくらの手を引き、階段を駆け上る。真路は男の足を引っかけて倒し、武器を奪って、素早く階段を後ろ向きに進んでいった。残りが追いかけてくる。
それを落としていく。前の者が落とされると、後ろが逃げ切れず、そのまま巻き添えを食らって落ちていった。
追ってくる者が居なくなって、真路はさくらたちの方に向き直った。
「・・凄いな。」
「たいしたことじゃないです。こういうところを使ったり、移動しながらだと、追っ手は少しばらけて、少数と戦えますからね。」
真路は棒を床に付けて、音をさせる。
「・・さて、行きますか。」
*
「「死に急ぐ気か?童よ。」」
ファイは秘妖に近い、背の低い足場に着地した。それをまた足場にして、黒鋼が秘妖の元へ跳ぶ。
「「何!?」」
秘妖は黒鋼の胸に長い爪を刺した。
「「・・・なかなかの策士だな。」」
爪を引き抜くと、マガニャンが刺さっていた。
「俺ぁ、雨が嫌ぇなんだよ。・・だから、さっさと止めろ!」
黒鋼はその棒を秘妖の額に振り下ろした。
*
「みんな!目を覚ませ!!」
春香がその鏡を掲げると、光が発せられた。その後ろの真路すら、思わず目をつぶる。
すると、大勢の町の人達がはっと我に返ったように、辺りを見回す。
「この鏡は操られた人にかけられた術を解く。母さんの秘術道具だ。」
春香は領主を睨んだ。
「私の秘術を操る力はまだ弱いけど、この鏡にかけて、もうお前なんかに町の人達を好きにさせない!」
「春香!!さくら!!真路!!」
真路はモコナの声で、小狼を見つける。
「あーあ、ボロボロですね。大丈夫ですか?」
「はい。」
後ろで二人の気配がした。
「あれー?なんだか人いっぱい?」
「二人とも遅いー!!」
モコナは黒鋼に跳び蹴りならぬ、跳び頭突きをした。
「ご、ごめんなさい。お願いされてたのに・・。」
「うううん。ここまでちゃんと、真路ちゃんは守ってくれたみたいだしねー」
ファイはにこりと笑う。真路は思わず目をそらした。
その時、領主の声が聞こえた。
「これを使えば、春香の母親を生き返らせられるかもしれん!」
後ずさりをしながら、必死に小狼に命乞いをしているらしい。
真路はそれを軽蔑めいた表情で見ていた。
「おまえが殺したんだろ!この町を守ろうとした母さんを!!」
春香の瞳から涙が流れ落ちる。
「それに!母さん言ってた!どんな力を使っても失った命は戻らないって!!どんなに私が会いたくても、もう母さんには会えないんだ!!」
真路は顔をしかめた。
「それなのに・・・・そんなたわごと!」
今にも領主に掴みかかりそうな春香をさくらが必死におさえる。
「・・春香、仇を討ちたいか。」
春香は顔を上げた。その気持ちは心にあった筈なのに、意外そうに小狼を見る。
「それで気が済むならいい。けれど、春香が手をかける価値のある男か?」
ぎゅっと、目を閉じて、拳を握りしめた。
「・・・こんなヤツ、殴る手がもったいない!」
真路は悲痛な表情を浮かべた。
小狼はそれを聞いて、ゆっくり領主と間合いを詰めていく。
「待って・・!」
思わず、真路は叫んだ。
驚いて、小狼は振り返る。
「恨みは持たされた人がその処理を考えるべきです。一番恨みを持たされた人がこう言ってるんだから、あなたがその男をどうかする権利はありません。」
本当はこんな男を庇うことになるようなことを言いたくはなかった。しかし、春香が何もしないのに小狼が手をあげるのは理に反すると思う。それに、それを黙ってみていられなかった。
「真路ちゃん・・?」
「「そこまでだ。」」
領主の背後から長い爪が延びてきて、領主を掴んだ。
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