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夕稀
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女性
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こんな状況下で部屋を貰えたのは幸運だろう。
レミニスはレコルト国から持ち出してしまった複製本を見つめた。今更である。
しかし、今はこれが必要かもしれなかった。
レコルト国でうっかり自分の過去を写してしまい、そのとき本の最初の方だけ自分で見て、閉じたものだった。まだ最後まで読んでないので、本棚に直そうにも直せず、借りて、そのままになってしまった。
小狼 はこれで誰かの過去をかなり見てしまったようだったが、私は自分の過去だったからだろうか?途中で自分からやめることができた。
「いくら魔力のある本とはいえ、複製本にこんな事が出来るなんてね。」
レミニスは本を開いた。
着物姿に、茶色の瞳、黒くて長髪の少女がその目に映った。
侑子はレミニス達と一緒にいる小狼と同じ姿の少年を前にしていた。しかし、彼と同じなのは姿だけで、別人だ。
彼は侑子の魔術で徐々に溶けるように消えていく。
「では、行きなさい。」
少年はすっかり消えてしまって、雨はもう止む頃だった。
侑子は或る人が話したことを思い出していた。
『あの子は、今はまだ年齢的にも子供ですが、このままではきっと、ずっと幼い子供のままでしょう。人が人のために何かをするということ、人を想う気持ち、誰かに大切にされること、全部、あの子には分からないことなんですよ。』
そして、その人は苦く笑った。
『本当は全部、教えてあげたかったんですけどね。私では役不足のようです。』
手を差し伸べられて、少女は不思議そうだった。
「どうして私のためにそこまでする?」
その人は優しく、少女を抱きしめた。
「・・・名前は覚えていますか?」
少女は首を振った。
「では、私が付けても?」
頷く。
「それでは、”レミニス”というのはどうですか?」
レミニスは本を閉じた。辺りの光景が元に戻る。
これ以上見る必要は無かった。しかし、本当のところはそういうことではないかもしれない。ただ、臆病なだけかもしれない。
「・・・最悪だ」
レミニスはそのままベットに寄りかかって、眠ることにした。
「・・・小僧、じゃねぇな。」
黒鋼は小狼をじっと見つめた。
「前の国で本を手に入れたときに現れた奴か。」
レミニスはその声を聞いて、ガバッと立ち上がった。驚いて、黒鋼はそちらに振り返った。
「やっぱりもう、ほころんでたか。」
「ずっと待ってた・・・小狼」
小狼は立ち上がった。そこへファイがやってきた。彼も異変に気付いたらしかった。
レミニスは手出ししない。
黒鋼が小狼の腕を強く握ると、目の色が変わった。いつもの彼である。
名前を呼ばれて、次の瞬間にはファイはいつも通りに振る舞った。着替えを渡して、その場を三人だけにする。
「さっきが初めて?」
「いや、前にもあった。」
「・・何度目?」
「俺の知る限りは、二度目だな。」
レミニスはそれきり黙っていた。
「なんだか・・凍ったみたいな目だった。」
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レミニスはレコルト国から持ち出してしまった複製本を見つめた。今更である。
しかし、今はこれが必要かもしれなかった。
レコルト国でうっかり自分の過去を写してしまい、そのとき本の最初の方だけ自分で見て、閉じたものだった。まだ最後まで読んでないので、本棚に直そうにも直せず、借りて、そのままになってしまった。
「いくら魔力のある本とはいえ、複製本にこんな事が出来るなんてね。」
レミニスは本を開いた。
着物姿に、茶色の瞳、黒くて長髪の少女がその目に映った。
*
侑子はレミニス達と一緒にいる小狼と同じ姿の少年を前にしていた。しかし、彼と同じなのは姿だけで、別人だ。
彼は侑子の魔術で徐々に溶けるように消えていく。
「では、行きなさい。」
少年はすっかり消えてしまって、雨はもう止む頃だった。
侑子は或る人が話したことを思い出していた。
『あの子は、今はまだ年齢的にも子供ですが、このままではきっと、ずっと幼い子供のままでしょう。人が人のために何かをするということ、人を想う気持ち、誰かに大切にされること、全部、あの子には分からないことなんですよ。』
そして、その人は苦く笑った。
『本当は全部、教えてあげたかったんですけどね。私では役不足のようです。』
*
手を差し伸べられて、少女は不思議そうだった。
「どうして私のためにそこまでする?」
その人は優しく、少女を抱きしめた。
「・・・名前は覚えていますか?」
少女は首を振った。
「では、私が付けても?」
頷く。
「それでは、”レミニス”というのはどうですか?」
レミニスは本を閉じた。辺りの光景が元に戻る。
これ以上見る必要は無かった。しかし、本当のところはそういうことではないかもしれない。ただ、臆病なだけかもしれない。
「・・・最悪だ」
レミニスはそのままベットに寄りかかって、眠ることにした。
*
「・・・小僧、じゃねぇな。」
黒鋼は小狼をじっと見つめた。
「前の国で本を手に入れたときに現れた奴か。」
レミニスはその声を聞いて、ガバッと立ち上がった。驚いて、黒鋼はそちらに振り返った。
「やっぱりもう、ほころんでたか。」
「ずっと待ってた・・・小狼」
小狼は立ち上がった。そこへファイがやってきた。彼も異変に気付いたらしかった。
レミニスは手出ししない。
黒鋼が小狼の腕を強く握ると、目の色が変わった。いつもの彼である。
名前を呼ばれて、次の瞬間にはファイはいつも通りに振る舞った。着替えを渡して、その場を三人だけにする。
「さっきが初めて?」
「いや、前にもあった。」
「・・何度目?」
「俺の知る限りは、二度目だな。」
レミニスはそれきり黙っていた。
「なんだか・・凍ったみたいな目だった。」
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