カテゴリー
about
移転しました
→詳しくは目次をご覧下さい。
→詳しくは目次をご覧下さい。
プロフィール
HN:
夕稀
性別:
女性
ブログ内検索
負けを認め、戦争を終わらせようとした摂政達はある青年に殺された。しかしその後、結局さらなる尊大な犠牲を出して、終戦した。
敗戦国となった極東国はすぐさま勝戦国に占領され、今に至る。
戦後の復興が進みつつある帝都や帝都付近の町などでは、この国の責任者達の処分を報じる号外などがばらまかれた。文字が読めない人のために、それを声に出して語る人などもいるが、小狼達にはよく聞こえなかった。
「何の騒ぎだろう?」
小狼は号外を受け取った。
「小狼君、読める?」
「少しだけ・・。よく分かりませんが、この国は最近までどこかの国と戦ってたみたいです。それで負けて、この国の軍の人とかの処分が書かれているみたいです。」
町には、喝采が起こっていた。
そんなに騒ぐほど、それは正しいことなんだろうか。
そんなことを考えた少年は今まさに、その後ろを通りすぎ、サクラの横をすり抜けるところだった。
戦時中、戦地に赴く男の人達に送る人々は拍手喝采を浴びせていた。
ああ言う人達は身勝手だなと思った。
真路は半分崩れた家を覗き込んだ。やっと人がいた。
住人はすぐさま気がついて、出てきた。
「真路ちゃんか!?」
少し驚いたような、そんな顔をしたが、それから顔を曇らせた。
「悪いがうちも余裕はない。何も食べ物は交換できんよ?」
「違います、千田さん。私は食べ物を貰いに来たんじゃありません。」
「じゃあどうしたの?」
「聞きたいことがあって、来たんです。この町に八十八国が攻めてきたとき・・どうでしたか?」
「え・・・?あんたあの時この町にはいなかったのか?」
「いえ、いました。でも確かめたいことがあるんです。」
「・・・あいつら、爆弾で家を壊しながら、逃げまどう私達を片っ端から撃ち殺してったよ。爆撃したところから本当に、慈悲もない。それであっという間にこの町は殆ど壊滅。・・あたしは間一髪で逃げ切れたけどね。生き残ったのは私とあんたとあと何人かぐらいだろうね。」
「爆撃したところから・・・ですか。家の中に入っていって、ってことはなかったってことですか?」
「最初っから最後まで見てたわけじゃないけど、そんな一軒一軒いちいち入っていくなんて事はしないよ。」
「・・・・ですよね。」
「八十八国を絶対に許さない!」
後ろから人の気配を感じて、真路は長刀の柄を握った。
男が二人。極東国の人だった。
真路は長刀を構えるのをやめた。
八十八国の軍人だったら、そのまま斬り掛かっていただろう。
顔つきや髪の色は違うけれど、その胸についたマークで判断したのだ。
その二人によって、真路は訓練所にはいることとなる。既に剣道が強かったこともあり、また、それだけ必死だったとも言える。通常の半分の期間で訓練を終えてしまった。
「合格だ。おめでとう。君はもうここを卒業だ。」
「そつぎょう・・って何だ?」
「もう少国民隊に入れるということだ。早速、今から関西軍へ向かって貰う。本来は一番下の破 組からだが、君は特に優秀と認められ・・・強いと言うことで、一番上の伊組からだ。」
教官はポンポンと頭を叩いた。
「しっかり、がんばるように。」
「はい!」
戦場で、その想い長刀を器用に操り、次々と敵軍を倒していった。そうして国軍の援軍としてその形勢を変えていく。
国軍は全体的に、圧倒的劣性で、どんどん八十八国の進軍を許してしまっていた。負けの色が漂ってきているのは今に始まったことではなかった。
しかし国軍と比べて明らかに少数でも、これだけやれれば国軍の弱さをカバーできるんじゃないかと思えてきていた。
これなら勝てるかもしれない、と。
そう思っていたのは組や場所に関係なく、少なからずいた。
真路は伊組の中に見慣れない子を見つけた。水瀬の言っていた子だろうと思って、歩み寄った。
「伊組昇格おめでとう。」
「別にめでたくないよ。伊組の人手を増やすために繰り上げられただけだもん。」
初めて会う子だったが、元気がないのは見て取れた。
「どうか、したのか?」
「・・・あなたは平気なの?人を殺して。」
真路は思いもよらないことを言われて、少しの間何も言えなかった。
「やらなきゃやられる。」
「でもそれは向こうだって同じ筈。」
何だか”同じ”が気に障ったらしかった。
「どこが!?あいつらは言葉も話せないような子供まで殺すのに!町が幾つも壊滅されてる!ここだけじゃない!東南の方の国も次々やられてる!」
真路が声を荒立てたので、周囲がこちらに注目した。
「それならこっちもそうだよ!近くの国を倒して、植民地にしてる!そこから人を連れてきて、国軍に入れたりしてるんだから!」
「違う!あくまであれは別の国だ!この国と組んで協力してるだけだ!」
「あなたはそこに行ったこともないからそう言うのよ!」
本来なら、この国のやっていることを否定するようなことを言えば、すぐさま軍部に処分されるのだが、今そこには居なかった。
更に、美里や水瀬もおらず、周りにこの二人を止められる人がいない。
「八十八国は武器も持たない人達を無差別にやってるじゃないか!」
「それは極東も同じよ!」
二人の頭に衝撃があった。
「・・った・・。」
水瀬だった。今戻ってきたところらしい。
「・・全く。会って早々何、喧嘩してんだよ。」
水瀬の後ろから美里がやってくる。
「だいたい、軍隊に入っといて何言ってんだか。ここで”正しい”とかそんなこと言ったって意味ないでしょ。」
「美里・・」
「繰り上がり昇格のこの言ってることもまあまああってるけどね、甘すぎ。」
「何が。・・ちなみに、凪よ。」
美里は溜息をついた。
「知ってた?この戦争、八十八国は極露戦争前・・もうずっと前から準備されてたんだって。」
二人は驚いて顔を上げた。
「・・・美里」
美里は続ける。
「それにこっちの国軍の策戦 、筒抜けっぽいって。」
「美里!」
水瀬が止めようとするが美里は聞かない。
「・・・どうしてそう思うんだ?」
「あたしは国軍の本拠地 で訓練させられたんだ。そこで聞いたの。盗み聞きだけどね。」
美里は悪戯っぽく笑う。
いつもの彼女の笑い方なので、悪気があるわけではないだろう。
「真珠湾のも、こっちが狙ってたものはその前の日に移動されてなかったんだって。開戦のきっかけが欲しかったんだよ。あっちの偉い人達は若い兵士を犠牲にしてるから認めないだろうけど。」
美里はもう一度凪を見る。
「つまりね、そんなもんだって事。すべてが正しいようになる訳じゃないし、普通に間違ってるかもしれないようなことがあってるわけ。そもそもその”正しい”って定義も難しいしね。」
コップを口に付けた。
「戦争ってのは技術が進むし、儲かったりする。物があればだけど。
だから時々それを仕組む人達がいる。どこかの国みたいに”みんなの敵”を作って、国民をまとめようとする国、景気を何とかするために植民地を作ろうとする国がある。
平和なんて、本当に願うのはその貴重さを分かってからだ。それでさえも、ほんの少しでもそれを忘れてしまえばそんなものすぐにうわべになるよ。」
またにこりと笑って、
「常に世界のどこかで戦争はあってるし、人はどこかで争い、競い合わなければ、進歩できない。そもそも争いは好きだしね。」
と言う。
「まあでもこの戦争は、いつか終わるかもしれないね。でも終わりにはならないよ。」
「・・・それってどういう意味?」
「終わったって事になっても、あたし達が倒した人は還ってこないってこと。」
「美里!!そんな小さい子に言う台詞じゃない。」
「嘘。水瀬はそんなこと思ってないくせに。それは伊組のリーダーとしての言葉だ。」
じっと水瀬を見た。
「本当のことを知るのに小さいも大きいもない。小さいからって教えなきゃ後で困るのはその子だ。小さいからって夢見させろってのは子供が純粋であって欲しい大人の勝手な願いだ。」
「そう言う事じゃない!」
「嘘。リーダーとして、ここで戦えなくなった子が出たら困るからだ。じゃなきゃ、そうなった子は処分命令が出る、そういうことにしたくないからだ。」
おそらくそれが水瀬の図星をついていることは真路にも凪にもわかった。
「それはそれでいいじゃない。その子は所詮、向いてなかったのか、もしくは選んだんだ。自分の命よりも、誰からも恨まれないことの方が大事だってね。」
「・・・美里、俺は、ここの仲間が死んだり、仲間が仲間を殺すのを冷静に見てられるような神経は持ってないんだよ。」
美里は自分よりも背の高い水瀬の頭をまるで子供のように、撫でた。
「相変わらず、優しいね。・・・・だけど、ここにいるからにはあなたもあんまり甘すぎると、早死にすることになるよ?」
水瀬は黙っていた。
軍部から来た大人達がここの管理をしていたが、ここの子供の中でのリーダーは美里だった。悪戯っぽい笑みを浮かべ、ずけずけと物を言うが、間違ったことは言わない。嘘ではないと思った。
むしろ、自分自身の方が間違っていたような気がした。
このころ辺りから、真路は母親の口調を真似ることを憶え始め、それはしだいに浸透していって、後に久人が来る頃には真路の口調と言うことになっていた。そしてそれに伴い、真路は凪と仲良くなっていき、”なっちゃん”とまで呼ぶほどになっていった。
真路ははっとした。
そこには一人の男の子が立っていた。
「久しぶりだな、真路。」
真路は沈痛な表情で目を落とした。
「・・・千尋。」
思わず二歩下がる。
「生きてた・・・んですか?」
「あんな事で俺が死ぬかよ。これでも一応、国軍より強い少国民隊関西軍の一番強い伊組の一人だぞ?」
真路はにこりと微笑む。
「そうでした。」
「しかしお前、相変わらず、チビだな。背縮んだんじゃねぇのか?」
「君が高くなったんですよ。」
他者から見れば、和やかな会話に聞こえただろう。
実際、二人ともいつものような表情だったし、声の調子も変わらなかった。再会を、この少しの間だけでも喜びたかったのかもしれない。
しかし互いに、互いがあったことが何を意味するのかは分かっていた。
→目次
→next
敗戦国となった極東国はすぐさま勝戦国に占領され、今に至る。
戦後の復興が進みつつある帝都や帝都付近の町などでは、この国の責任者達の処分を報じる号外などがばらまかれた。文字が読めない人のために、それを声に出して語る人などもいるが、小狼達にはよく聞こえなかった。
「何の騒ぎだろう?」
小狼は号外を受け取った。
「小狼君、読める?」
「少しだけ・・。よく分かりませんが、この国は最近までどこかの国と戦ってたみたいです。それで負けて、この国の軍の人とかの処分が書かれているみたいです。」
町には、喝采が起こっていた。
そんなに騒ぐほど、それは正しいことなんだろうか。
そんなことを考えた少年は今まさに、その後ろを通りすぎ、サクラの横をすり抜けるところだった。
戦時中、戦地に赴く男の人達に送る人々は拍手喝采を浴びせていた。
ああ言う人達は身勝手だなと思った。
*
真路は半分崩れた家を覗き込んだ。やっと人がいた。
住人はすぐさま気がついて、出てきた。
「真路ちゃんか!?」
少し驚いたような、そんな顔をしたが、それから顔を曇らせた。
「悪いがうちも余裕はない。何も食べ物は交換できんよ?」
「違います、千田さん。私は食べ物を貰いに来たんじゃありません。」
「じゃあどうしたの?」
「聞きたいことがあって、来たんです。この町に八十八国が攻めてきたとき・・どうでしたか?」
「え・・・?あんたあの時この町にはいなかったのか?」
「いえ、いました。でも確かめたいことがあるんです。」
「・・・あいつら、爆弾で家を壊しながら、逃げまどう私達を片っ端から撃ち殺してったよ。爆撃したところから本当に、慈悲もない。それであっという間にこの町は殆ど壊滅。・・あたしは間一髪で逃げ切れたけどね。生き残ったのは私とあんたとあと何人かぐらいだろうね。」
「爆撃したところから・・・ですか。家の中に入っていって、ってことはなかったってことですか?」
「最初っから最後まで見てたわけじゃないけど、そんな一軒一軒いちいち入っていくなんて事はしないよ。」
「・・・・ですよね。」
*
「八十八国を絶対に許さない!」
後ろから人の気配を感じて、真路は長刀の柄を握った。
男が二人。極東国の人だった。
真路は長刀を構えるのをやめた。
八十八国の軍人だったら、そのまま斬り掛かっていただろう。
顔つきや髪の色は違うけれど、その胸についたマークで判断したのだ。
その二人によって、真路は訓練所にはいることとなる。既に剣道が強かったこともあり、また、それだけ必死だったとも言える。通常の半分の期間で訓練を終えてしまった。
「合格だ。おめでとう。君はもうここを卒業だ。」
「そつぎょう・・って何だ?」
「もう少国民隊に入れるということだ。早速、今から関西軍へ向かって貰う。本来は一番下の
教官はポンポンと頭を叩いた。
「しっかり、がんばるように。」
「はい!」
戦場で、その想い長刀を器用に操り、次々と敵軍を倒していった。そうして国軍の援軍としてその形勢を変えていく。
国軍は全体的に、圧倒的劣性で、どんどん八十八国の進軍を許してしまっていた。負けの色が漂ってきているのは今に始まったことではなかった。
しかし国軍と比べて明らかに少数でも、これだけやれれば国軍の弱さをカバーできるんじゃないかと思えてきていた。
これなら勝てるかもしれない、と。
そう思っていたのは組や場所に関係なく、少なからずいた。
真路は伊組の中に見慣れない子を見つけた。水瀬の言っていた子だろうと思って、歩み寄った。
「伊組昇格おめでとう。」
「別にめでたくないよ。伊組の人手を増やすために繰り上げられただけだもん。」
初めて会う子だったが、元気がないのは見て取れた。
「どうか、したのか?」
「・・・あなたは平気なの?人を殺して。」
真路は思いもよらないことを言われて、少しの間何も言えなかった。
「やらなきゃやられる。」
「でもそれは向こうだって同じ筈。」
何だか”同じ”が気に障ったらしかった。
「どこが!?あいつらは言葉も話せないような子供まで殺すのに!町が幾つも壊滅されてる!ここだけじゃない!東南の方の国も次々やられてる!」
真路が声を荒立てたので、周囲がこちらに注目した。
「それならこっちもそうだよ!近くの国を倒して、植民地にしてる!そこから人を連れてきて、国軍に入れたりしてるんだから!」
「違う!あくまであれは別の国だ!この国と組んで協力してるだけだ!」
「あなたはそこに行ったこともないからそう言うのよ!」
本来なら、この国のやっていることを否定するようなことを言えば、すぐさま軍部に処分されるのだが、今そこには居なかった。
更に、美里や水瀬もおらず、周りにこの二人を止められる人がいない。
「八十八国は武器も持たない人達を無差別にやってるじゃないか!」
「それは極東も同じよ!」
二人の頭に衝撃があった。
「・・った・・。」
水瀬だった。今戻ってきたところらしい。
「・・全く。会って早々何、喧嘩してんだよ。」
水瀬の後ろから美里がやってくる。
「だいたい、軍隊に入っといて何言ってんだか。ここで”正しい”とかそんなこと言ったって意味ないでしょ。」
「美里・・」
「繰り上がり昇格のこの言ってることもまあまああってるけどね、甘すぎ。」
「何が。・・ちなみに、凪よ。」
美里は溜息をついた。
「知ってた?この戦争、八十八国は極露戦争前・・もうずっと前から準備されてたんだって。」
二人は驚いて顔を上げた。
「・・・美里」
美里は続ける。
「それにこっちの国軍の
「美里!」
水瀬が止めようとするが美里は聞かない。
「・・・どうしてそう思うんだ?」
「あたしは国軍の
美里は悪戯っぽく笑う。
いつもの彼女の笑い方なので、悪気があるわけではないだろう。
「真珠湾のも、こっちが狙ってたものはその前の日に移動されてなかったんだって。開戦のきっかけが欲しかったんだよ。あっちの偉い人達は若い兵士を犠牲にしてるから認めないだろうけど。」
美里はもう一度凪を見る。
「つまりね、そんなもんだって事。すべてが正しいようになる訳じゃないし、普通に間違ってるかもしれないようなことがあってるわけ。そもそもその”正しい”って定義も難しいしね。」
コップを口に付けた。
「戦争ってのは技術が進むし、儲かったりする。物があればだけど。
だから時々それを仕組む人達がいる。どこかの国みたいに”みんなの敵”を作って、国民をまとめようとする国、景気を何とかするために植民地を作ろうとする国がある。
平和なんて、本当に願うのはその貴重さを分かってからだ。それでさえも、ほんの少しでもそれを忘れてしまえばそんなものすぐにうわべになるよ。」
またにこりと笑って、
「常に世界のどこかで戦争はあってるし、人はどこかで争い、競い合わなければ、進歩できない。そもそも争いは好きだしね。」
と言う。
「まあでもこの戦争は、いつか終わるかもしれないね。でも終わりにはならないよ。」
「・・・それってどういう意味?」
「終わったって事になっても、あたし達が倒した人は還ってこないってこと。」
「美里!!そんな小さい子に言う台詞じゃない。」
「嘘。水瀬はそんなこと思ってないくせに。それは伊組のリーダーとしての言葉だ。」
じっと水瀬を見た。
「本当のことを知るのに小さいも大きいもない。小さいからって教えなきゃ後で困るのはその子だ。小さいからって夢見させろってのは子供が純粋であって欲しい大人の勝手な願いだ。」
「そう言う事じゃない!」
「嘘。リーダーとして、ここで戦えなくなった子が出たら困るからだ。じゃなきゃ、そうなった子は処分命令が出る、そういうことにしたくないからだ。」
おそらくそれが水瀬の図星をついていることは真路にも凪にもわかった。
「それはそれでいいじゃない。その子は所詮、向いてなかったのか、もしくは選んだんだ。自分の命よりも、誰からも恨まれないことの方が大事だってね。」
「・・・美里、俺は、ここの仲間が死んだり、仲間が仲間を殺すのを冷静に見てられるような神経は持ってないんだよ。」
美里は自分よりも背の高い水瀬の頭をまるで子供のように、撫でた。
「相変わらず、優しいね。・・・・だけど、ここにいるからにはあなたもあんまり甘すぎると、早死にすることになるよ?」
水瀬は黙っていた。
軍部から来た大人達がここの管理をしていたが、ここの子供の中でのリーダーは美里だった。悪戯っぽい笑みを浮かべ、ずけずけと物を言うが、間違ったことは言わない。嘘ではないと思った。
むしろ、自分自身の方が間違っていたような気がした。
このころ辺りから、真路は母親の口調を真似ることを憶え始め、それはしだいに浸透していって、後に久人が来る頃には真路の口調と言うことになっていた。そしてそれに伴い、真路は凪と仲良くなっていき、”なっちゃん”とまで呼ぶほどになっていった。
真路ははっとした。
そこには一人の男の子が立っていた。
「久しぶりだな、真路。」
真路は沈痛な表情で目を落とした。
「・・・千尋。」
思わず二歩下がる。
「生きてた・・・んですか?」
「あんな事で俺が死ぬかよ。これでも一応、国軍より強い少国民隊関西軍の一番強い伊組の一人だぞ?」
真路はにこりと微笑む。
「そうでした。」
「しかしお前、相変わらず、チビだな。背縮んだんじゃねぇのか?」
「君が高くなったんですよ。」
他者から見れば、和やかな会話に聞こえただろう。
実際、二人ともいつものような表情だったし、声の調子も変わらなかった。再会を、この少しの間だけでも喜びたかったのかもしれない。
しかし互いに、互いがあったことが何を意味するのかは分かっていた。
→目次
→next
下記を訂正しました。
訂正部分:「本来は伊組からだが、君は特に優秀と認められ・・・強いと言うことで、一番上の伊組からだ。」
意味の分からないことを書いてました・・・(汗)
えっと、八十八国というのは八十八の国ではなくて、八十八という名前の国です。
凪と仲良くなるまでの話とか、もうちょっと美里とか出そうかと思ってたんですが・・・別に必ずいるってわけじゃないし、あんまり真路関係ない・・わけでもないけど特にいらないし、作者がやりたいだけかなと思ったのでやめました。
ちなみに極東国はあと一話ぐらいで終わります。この国が苦手っていう人もいらっしゃるかもしれませんが・・後もう少しお付き合いいただけると嬉しいです。
PR
この記事にコメントする