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本館・徒然日記:CLAMP作品の感想などを綴ってます。雑誌のネタバレですので、コミック派の方はご注意ください。
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誰かが走ってくる音がする。近づいてきてる。
さくらは立ち上がって、外を見た。
「カイル先生!?」
カイルは一度はこちらを向いたものの、そのままは去って行ってしまった。それからすぐに小狼達の姿を見つけた。
「小狼君!?」
「さくら姫!!」



カイルは奥の部屋に辿り着いた。
レミニスが氷に覆われた羽根を抱えている。そこへ小狼達が駆けつけた。
「レミニスさん!?」
レミニスはそちらを見もしない。ただじっとカイルを見ていた。
「あの男の手の者よね?」
レミニスは杖を出して、カイルに向けた。
「あの男は何処に居る?言わないと・・・」
杖は剣に変わる。
「あなたにはこの場で死んで貰うことになるよ。」
カイルはふっと笑った。
剣を振り払い、レミニスの持つ羽根を奪い取ろうとする。剣を振るのはカイルが短剣を刺すのに間に合わない。
「レミニスちゃん!!」
「うわっ!」
カイルの周りを水が取り囲んだ。
その隙にレミニスはさくらに羽根を渡す。
「これは、あなたのものよ。」
「有り難う。」
レミニスにはさくらが自分にお礼を言う理由が分からなかった。
しかし、今はそんなことを聞いてる暇はない。

剣は杖に戻して、カイルを睨んだ。
カイルは水から抜け出した。
「あなたのお陰で、本当、酷い目にあった。
 まぁ、あなたは私じゃなくて、この人達を犯人にするつもりだったみたいだけど。」
自警団の男はレミニスに拳銃を向けた。
「町の者がお前の姿を見た後、子ども達が消えた!それに、今ここにいるなんて、お前も共犯じゃないのか!?」

レミニスは白い息を吐いた。体が熱い。額に汗が滲んでいる。
「私はただあの時外に居ただけ。
あの男の手の者の手がかりは掴めないし、町全体でよそ者を排除してたし、泊めて貰うわけにはいかないでしょ。そしたら、子供が勝手に外に出てっただけよ。」
「じゃあお前、あの時子ども達が攫われていくのを見ていながら、放って置いたのか!!」
レミニスに向けられた拳銃は下ろされない。レミニスはその先を軽く指でつついてみる。
「悪い?」
「お前っ・・!」
男はさらに拳銃を近づけて、突きつける。
「撃ちたければ撃てばいい。
 でも、よそ者の私が夜中に突然町の者を起こして、起きた頃にはもう子ども達はいない。・・そういう時、あなた達は私が怪しいと言って捕まえない保証があった?町に入っただけでもあんなだったのに。」
男は銃を下ろす他なくなった。

「罪を着せようと思ってた奴らが上手くいかなかったが、丁度それに代わるいい身代わりが現れたと思ったのにな。」
カイルは笑う。
「あの時は犯人の姿を見れなかったけど、昨晩は隠れてたからね。初日と違って、犯人が私の視界を通った。」
「私の後をつけて、川を渡ったのか。気付かなかったな。」
カイルはじりじりとこちらに近づいてくる。
小狼はさくらの前に立ちふさがる。

「あの穴は掘り崩せない程固い上に大人じゃ入れないほど狭い。おまけに周りの氷は春になっても溶けやしない。仕方がないから子ども達に掘らせてたんだ。」
「そんなことのために子ども達を・・!」
カイルは何言ってるんだと言わんばかりの表情だ。
「そんなこと?あれの力を知らないからそんなことが言えるんだよ。何せ、金の髪の姫は三百年前、それの力で子ども達を救ったらしいからな。」
「金の髪の姫は子供達をさらって城で殺したんじゃ・・・!」

レミニスは呆れたような顔をした。
「あなたは何を見ている?ここにはこんなにも、子ども達のためのものがあるのに。」
言われて初めて、その周りを見る。遊具が沢山置かれていることに気付いた。
「そう言えば、ここに来る途中、沢山ベットがある部屋もあったねぇ。」
「まぁ、この町の三百年前とか、今の町の事実なんて、私には関係ないけど。」
レミニスは白い息を吐いた。
自警団の男は納得できないという様子だ。
「でも羽根を手にした後、王と妃はすぐに死んだって!」

さくらは金の髪の姫の声に気付いてそちらを向いた。
「・・・違う。」
「「お父様とお母様が亡くなったのは事故です。」」
レミニスはただ黙っている。
「「その後、子供だけがかかる流行病が城下の町を襲って何人もの子供が犠牲になりました。そのときこの羽根が振ってきて・・・・羽根の周りだけ何故か病気は力をなくすようでした。
だから城下町の子供達を皆この城に招いたのです。元気になるまで。
」」
「じゃあ居なくなったときと同じ姿で戻って来なかったというのは・・・」
小狼達には金の髪の姫、エメロード姫の姿が見えないらしかった。訳が分からず、ただ首を傾げている。
カイルはしびれを切らした。
「幻との会話につき合ってる暇はない!その羽根を寄越せ!!」
カイルは短剣を向けて突っ込んでくる。
小狼が対処する前に、レミニスが杖で受け止めた。
「まだあの男の居場所を聞いてない。」
カイルはその手を掴んだ。この寒いのに、手が熱すぎる気がするのは気のせいだろうか。

そこへ大きな地響きがした。
「何の音かなぁ。」
「地震か?」
小狼ははっとした。
「違う!この音は!」
ドンッという音と共に壁を突き破って、水が流れ込んできた。
レミニスとカイルはそれを避けて、離れた。
「うわぁっ!」
小狼はさくらの鎖を足で壊す。
「川の水を止めていた装置が壊れたんでしょう。」
「あー古かったもんねぇ。長くは止めていられないんだー。」
小狼は冷静に、出口を見極めようとした。
「危ないっ!!」
水と共に崩れた瓦礫が振ってきて、カイルとレミニス、小狼達と黒鋼達との間が塞がれ、小狼とさくらとカイルだけが奧に取り残されてしまった。

「しまった。」
レミニスは静かに言ったが、その分感情はこもっていた。


目次

<あとがきと裏話>
この話で大変だったのは、何度も「ファイと黒鋼」を一気に変換させて、「ファイト黒鋼」にしてしまったことです。
「黒鋼とファイ」で変換させればいいものを・・って感じですが、そんなことは打ってしまってから気付きました(汗)
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