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夕稀
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女性
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新種の鬼児は人の姿をしていて、まだ見たのは一人だけらしい。誰も、戦ったこともないと言う。さらに最近の鬼児の動向はおかしいらしい。
ファイ達は羽根が関係しているかもしれないと考えたが、レミニスはその話を聞いて、あのマントを着た電柱の上の人の事を考えていた。
ドアのベルが鳴り響いて、龍王と小狼がその場にしゃがみ込んだ。息が上がっている。
「どうしたの?」
龍王は新種の鬼児に会ったと言った。とても敵わないので、逃げてきたという。そして小狼は、あれは昔自分に体術を教えてくれた人だと告げた。
ドクンドクン・・・ドクン・・
誰の耳にも届かない鼓動が何処かの世界で鳴り始めていた。
「おはようございます。すみません、おそくなって・・」
レミニスは顔色を変えた。小狼の真ん前まで近寄ってきて、顔をじっと見つめた。
「何・・ですか?」
先程さくらに目が赤いと指摘されたばかりだったが、そう言うことではなさそうだった。さくらも不思議そうにレミニスを見ている。
「何・・・でもない。」
レミニスはあっという間に食べて、一人で買い物に行ってしまった。
レミニスは次元の違う場所での鼓動を音ではなく、微かな変化として、見つけていた。
まだその時は来ないけれど、砂時計は既に落ち始めた。その速さはわからない。けれどそれは、刻々と近づいてくる。
レミニスは戸口の前間出来て、立ち止まった。声が聞こえる。
「でも、笑ってても違うこと考えてる。」
少し間が空いた。レミニスは入るべきか迷っていたが、話は続く。
「寂しい人は分かるの。ファイも黒鋼もレミニスも小狼も、どこか寂しいの。」
ドアに背を向けて座った。
「でもね、その寂しいがちょっとでも減って、さくらみたいなあったかい感じがちょっとでも増えたらいいなって、モコナ思うの。」
旅を始める前、いた世界であの人に色々なことを教わった。けれど、それでも他の子供みたいに感情が吹き出すようなことはなかったし、そうならなかった。感情が薄いと言われた。
旅立つとき、あの人と契約を交わして、初めて次元を越えたとき、何故か涙が出てきた。それ以外はその後も何もなかった。
まるで、意のままに動く人形のようだった。ただ、契約とあの人の言葉だけに動かされていた。
レミニスは買ってきた中に卵があることを思い出して、中へ入った。
それからまたすぐにドアが開く。
「いらっしゃいませー。」
はっとして、レミニスとファイはそちらを向いた。ファイはモコナに小さな声で何か言って、さくらの元に行かせた。
「何になさいますかー?」
「ここに鬼児狩りがいますよね。」
レミニスは買ってきた袋をカウンターの上に置いて、ちらちらと様子をうかがいながら、お盆の裏に自分の紋章を描く。
「貴方達は違うんですか?」
「オレはここで喫茶店やってますー」
ファイはにこりと笑った。
「で?あの二人に何か用ですかー?」
男の後ろから鬼児が出てくる。
「消えて貰おうと思って。」
「この間、電柱の上に居たけれど、あれもやっぱりあなたの仕業?」
「やはり気付いてましたか、あの時。」
「あー、あなた星史郎さん?小狼君に戦い方を教えてくれたって言うー」
レミニスは描く手を止めない。
「・・・ということは『次元の魔女』に対価を渡したのかな?」
次元の魔女・・?
誰のことだろうかとレミニスは思った。
「・・・二人に会うために」
遂に星史郎は鬼児を放った。
レミニスはようやく描き終え、さくらの方へ投げる。すると、さくらとモコナの周りにドーム状の結界が張られた。
レミニスはファイを助けようとする。
「サクラちゃんのそばを離れないで!」
ファイは着地して、顔を歪めた。
「足を痛めてるんですね。魔力を使えばもっと楽に逃げられるでしょう。」
確かに言うとおりだ。どうしてさっきから魔術を使わないんだろうとレミニスは思った。
「でも魔力は使わないって決めてるんでー」
「え・・?」
マズいと思った。そんなので逃れられる訳がない。
「・・・さようなら。」
レミニスは急いで魔法を使ったが、間に合わなかった。後には彼の蝶ネクタイだけが残った。
どうして魔力を使わないと決めていたのかは分からないが、そうまでして使いたくないのか?あるいは・・死にたいのか?
しかし今はそれよりも何とも言えない気持ちになった。
「次は、貴女ですね。」
鬼児はレミニスに突っ込んでいった。
「レミニス!!」
モコナは叫んだ。
→目次
ファイ達は羽根が関係しているかもしれないと考えたが、レミニスはその話を聞いて、あのマントを着た電柱の上の人の事を考えていた。
ドアのベルが鳴り響いて、龍王と小狼がその場にしゃがみ込んだ。息が上がっている。
「どうしたの?」
龍王は新種の鬼児に会ったと言った。とても敵わないので、逃げてきたという。そして小狼は、あれは昔自分に体術を教えてくれた人だと告げた。
*
ドクンドクン・・・ドクン・・
誰の耳にも届かない鼓動が何処かの世界で鳴り始めていた。
「おはようございます。すみません、おそくなって・・」
レミニスは顔色を変えた。小狼の真ん前まで近寄ってきて、顔をじっと見つめた。
「何・・ですか?」
先程さくらに目が赤いと指摘されたばかりだったが、そう言うことではなさそうだった。さくらも不思議そうにレミニスを見ている。
「何・・・でもない。」
レミニスはあっという間に食べて、一人で買い物に行ってしまった。
レミニスは次元の違う場所での鼓動を音ではなく、微かな変化として、見つけていた。
まだその時は来ないけれど、砂時計は既に落ち始めた。その速さはわからない。けれどそれは、刻々と近づいてくる。
*
レミニスは戸口の前間出来て、立ち止まった。声が聞こえる。
「でも、笑ってても違うこと考えてる。」
少し間が空いた。レミニスは入るべきか迷っていたが、話は続く。
「寂しい人は分かるの。ファイも黒鋼もレミニスも小狼も、どこか寂しいの。」
ドアに背を向けて座った。
「でもね、その寂しいがちょっとでも減って、さくらみたいなあったかい感じがちょっとでも増えたらいいなって、モコナ思うの。」
旅を始める前、いた世界であの人に色々なことを教わった。けれど、それでも他の子供みたいに感情が吹き出すようなことはなかったし、そうならなかった。感情が薄いと言われた。
旅立つとき、あの人と契約を交わして、初めて次元を越えたとき、何故か涙が出てきた。それ以外はその後も何もなかった。
まるで、意のままに動く人形のようだった。ただ、契約とあの人の言葉だけに動かされていた。
レミニスは買ってきた中に卵があることを思い出して、中へ入った。
それからまたすぐにドアが開く。
「いらっしゃいませー。」
はっとして、レミニスとファイはそちらを向いた。ファイはモコナに小さな声で何か言って、さくらの元に行かせた。
「何になさいますかー?」
「ここに鬼児狩りがいますよね。」
レミニスは買ってきた袋をカウンターの上に置いて、ちらちらと様子をうかがいながら、お盆の裏に自分の紋章を描く。
「貴方達は違うんですか?」
「オレはここで喫茶店やってますー」
ファイはにこりと笑った。
「で?あの二人に何か用ですかー?」
男の後ろから鬼児が出てくる。
「消えて貰おうと思って。」
「この間、電柱の上に居たけれど、あれもやっぱりあなたの仕業?」
「やはり気付いてましたか、あの時。」
「あー、あなた星史郎さん?小狼君に戦い方を教えてくれたって言うー」
レミニスは描く手を止めない。
「・・・ということは『次元の魔女』に対価を渡したのかな?」
次元の魔女・・?
誰のことだろうかとレミニスは思った。
「・・・二人に会うために」
遂に星史郎は鬼児を放った。
レミニスはようやく描き終え、さくらの方へ投げる。すると、さくらとモコナの周りにドーム状の結界が張られた。
レミニスはファイを助けようとする。
「サクラちゃんのそばを離れないで!」
ファイは着地して、顔を歪めた。
「足を痛めてるんですね。魔力を使えばもっと楽に逃げられるでしょう。」
確かに言うとおりだ。どうしてさっきから魔術を使わないんだろうとレミニスは思った。
「でも魔力は使わないって決めてるんでー」
「え・・?」
マズいと思った。そんなので逃れられる訳がない。
「・・・さようなら。」
レミニスは急いで魔法を使ったが、間に合わなかった。後には彼の蝶ネクタイだけが残った。
どうして魔力を使わないと決めていたのかは分からないが、そうまでして使いたくないのか?あるいは・・死にたいのか?
しかし今はそれよりも何とも言えない気持ちになった。
「次は、貴女ですね。」
鬼児はレミニスに突っ込んでいった。
「レミニス!!」
モコナは叫んだ。
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