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本館・徒然日記:CLAMP作品の感想などを綴ってます。雑誌のネタバレですので、コミック派の方はご注意ください。
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「また私の勝ちね。」
テーブルの上のコインを手際よくポケットにしまう。
周りはわっ、とざわついた。
「え?”イカサマ”・・って何?あ、ずるしたんじゃないかって?してないよ。」

「レミニスさん!?」
レミニスはこちらに気がついて、立ち上がる。
小狼を見て、「今回もまだみたいね。」と言った。
「何がですか?」
「レミニスちゃん、さくらちゃんにもそれ、教えてあげてくれる?」

少し嫌そうな顔をしたが、少し考えていった。
「後で私を北の町の途中まで乗せてくれるなら、いいよ。」
「そこって遠いのかなぁ?」
「いや、隣町だし、馬に乗ればすぐらしい。そこにちょっと用がある。それに、どうせあなた達はついででしょ?」
「どうして?」
ファイの上着を着たさくらが訊いた。
「知らないの?北の町の話。」
言ってしまってから、しまった、という顔をする。
「どんな話なんですか?」
「・・・口を滑らせたか。」
小狼はもう聞く気満々で見ているので、レミニスは溜息をついた。

「・・おじさん、北の町の話、この人達が聞きたいって。教えてあげて。」
店員は愛想良くやってきて、話を聞かせた。



「さっきはありがとう。ルール教えてくれて・・」
さくらは小狼の前に乗せて貰っている。茶色い毛だが、しっぽなどは黒い馬だ。
「結局分かってなかったみたいだけどね。」
「ご、ごめんなさい。」
地面には軽く雪が積もっている。
「何にしても、取引だからね。まぁ、伝わってなかったんだから、これは北の町の事を教えてあげた事に対する報酬ね。」
黒鋼が不機嫌そうだ。
「どっちにしても、そりゃ、こいつが言ったことだろ?何で俺の後ろに来るんだよ!!」
「誰でもいいでしょ?あなただって、早くここを移動したいんだから。
 あなたの後ろにしたのは一番分かり易かったってだけ。」
「何がだ?」

レミニスは黒鋼を見据える。
「私のこと、疑ってる。」
さくらと小狼達とは少し距離があって、聞こえていないらしかった。
「勘違いしないで。嫌って訳じゃない。むしろ、それを態度で表してて、逆に安心する。」
ファイには会話が聞こえているらしい。ただ微笑んでいた。

「・・そういえば、サクラちゃんの国は砂漠の真ん中にあるんだっけ?」
「はい。」
「じゃあ雪は初めてかもねー。黒るんとこはー?」
いつの間にか、黒鋼のファイの呼び方に対する反応が薄くなっている。ここに来るまでに、どれ程の国を回ったのかは分からないが、親密度は圧倒的に高くなっている。
「日本国には四季があるからな。冬になれば寒いし、夏は暑い。」
「ファイの所は?」
いつの間にか、モコナはファイの襟元に来ている。
「寒いよー。北の国だったから。」
「小狼君は?」
「おれは父さんと色んな国を旅していたので。」
「寒い国も、暑い国も知ってるのね。」
レミニスはさくらとは初対面だったが、それ以上に、さくらがよく分からなかった。

「レミニスちゃんは?」
思いがけず、さくらに話を振られて、レミニスは驚いた。
「・・・。」

大きな家、木々の音。あの人の言葉。

『レミニス、―――――――と、伝えてください。あの人に・・』

少しの間反応がなかったので、心配そうにさくらが顔を覗き込んでいる。
「レミニスちゃん?」
「・・・憶えてないな。」
「え?」
「私が旅に出たのはずっと、昔だから。」
この言葉を信じたのはおそらくさくらとモコナだけだった。
「そうなんだ・・」
さくらは残念そうだった。
「それより、私みたいな得体の知れない人間に気を許さない方がいいんじゃない?
 今は別に危害を加えたりする気はないけど、私だってあなた達の敵になるかもしれないんだから。」
”かも”ではない。いずれは”必ず”。その時は訪れる。
なのに、そう言わなかった自分が今度は分からなかった。
「それって、どういうこと?」
「いずれ、わかるよ。」

レミニスは辺りを見回す。
「もう町が見える。私はここでいいよ。止めて。」
馬が止まると、すぐに降りた。
「馬、乗れないこともないけど、こんな格好じゃ無理だからね。町で私を見かけても、声はかけないで。」
「え?ちょっと待っ・・」

レミニスが立ち去ろうとするのを、さくらは思わずその裾を掴んで止めようとした。レミニスは驚いて振り返る。
風が突然起こって、積もっていた雪が四人の目をふさいだ。
風が止んだ頃にはもう、彼女はいなかった。



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